『重力ピエロ』 伊坂幸太郎
ネアンデルタール人は絵を描かなかった。今のところはそう考えられているんだ。それに比べて、クロマニヨン人が残した壁画はなかなかに素晴らしい。(本文より抜粋)
最近、市内で連続した放火事件が発生していた。「兄貴の会社が放火されるかもしれない」と弟から電話がかかってきた。そこから話が始まる。
泉水と春は二人兄弟。仲良くやってるけど、ちょっとワケアリ。父親がガンで入院している。伊坂さん得意のウンチク男は、今回は弟の春。ゴダールとガンジーを愛する、かなりマニアックな青年。美形なのに女性に興味がない。といって、ゲイってわけでもない。兄の泉水はいちおう真面目な会社員らしい。
この二人の関係が微妙で面白い。ベッタリ仲良しってわけでもないけれど、お互いを必要とし合っているのは間違えない。入院中の父親も同じタイプの人間のようで、三人の絡みも、どこまで本気なのか、どこまで冗談なのか分からないところがいいなぁ。
伊坂さんの小説の登場人物って、どの人もかなり性格が屈折しているって思いませんか?
どうしてそんなことに熱狂するの?って聞いてみたくなるくらい、一つのことにこだわるのに、どうでもいいことに関しては「別に」で済ましてしまうような、アンバランスな感じの人ばっかり。
世の中の人達って、一見普通そうな顔をして毎日暮らしているけれど、実はこの小説の中の人達みたいに、かなり変なことばかり考えて生きているんじゃないかな?頭に浮かんだことを口に出していないだけで、本当は頭の中にはとんでもないことが渦巻いているんじゃないかな?なんて思えてきました。
みんなが隠し持っている「狂気」とか「執着」とか「あきらめ」なんかを表に堂々と出したら、世の中はどうなるんでしょうね?多少混乱は起こるかもしれないけど、案外ストレスの少ない世界になるような気もするんだけど、どうなんでしょうか。
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コメント
やっぱり、Rokoさんはもう読了されていたのですね。私はようやく読みましたです。伊坂さんの本、つい最近初めて二冊を読んだばかりなのですが、独特の味があって、面白い作家さんですね。
今日の記事の伊丹さん、私は対談集を読んだだけなのですが、それも面白かったです。大江さんの義兄というのも大きいですよね。まだ生きてらしたらなあ、と思います。伊坂さんは、大江文学がお好きなようです。
投稿: tsuna11 | 2005年4月25日 (月) 20:46
tsuna11さん☆コメント&TBありがとうございます。
へぇ、伊坂さんは大江健三郎さんが好きなんですか。
その影響ってどこかにあるんでしょうけど、わたしには分からないなぁ。
伊丹さんと大江さんって兄弟であり、良き友達だったんですよね。
そういう兄弟を伊坂さんが描いたらどうなるんでしょうか?
投稿: Roko | 2005年4月25日 (月) 21:16
巷の評価は高いらしき『重力ピエロ』ですが、性格の屈折を通り越して幼児性に近い印象を受けてしまいました・・・
投稿: ひねもじら 乃太朗 | 2005年6月11日 (土) 12:09
ひねもじら 乃太朗さん☆コメント&TBありがとうございます。
同じ本を読んでも、感じ方は人それぞれです。
違うからこそ面白いんだと思いますよ。
これからも、よろしくね。
投稿: Roko | 2005年6月11日 (土) 22:50
はじめまして。
この本、ミステリーだけど、ざっくりしていますね。読んでておもしろいですけど~(^^)。
ストーリーを通して描かれているのは思い出の積み重ねから感じる家族の絆であり、重荷を背負いそれとともに生きていくということかな、しかも陽気にネ。
私にとっては最初から ぐあーーーーーん と重かった(><)。
何しろレイプで生まれた子供、癌のお父さんっていう設定だし。
深刻じゃないですか、ドロドロじゃないですか!
けれども読んでいくうちにこの家族の思い出を一緒に共有していく感じや、なんていうかな、ユーモアを交えることでタブーがタブーでなくなる感じっていうか、この家族の温かさや懐の深さを感じましたねw
でも、少し人間描写に突き詰めるようなところがなかったり、軽さを感じ得ない部分はあります。ま、そこが読み終わりのサッパリ感にもつながるのでしょう。
投稿: BION | 2005年7月28日 (木) 10:33
BIONさん☆コメント&TBありがとうございます。
伊坂さんの作品って、もの凄いことをサラッと言ってしまうようなところがありますよね。
この作品では、辛いのは自分だけじゃないんだよって、伊坂さんは言いたかったんじゃないかな?
これからも、よろしくね。
投稿: Roko | 2005年7月28日 (木) 20:26
TBさせていただきました。
>どうしてそんなことに熱狂するの?って聞いてみたくなるくらい、一つのことにこだわるのに、どうでもいいことに関しては「別に」で済ましてしまうような、アンバランスな感じの人ばっかり。
たしかにそんな感じですね。よく分ります。
>三人の絡みも、どこまで本気なのか、どこまで冗談なのか分からないところがいいなぁ。
そうですね。
会話のテンポがよくて、さらりと流れて行くのですが、じっくり読んでみるとまた違った趣があります。
投稿: ろっく | 2006年8月12日 (土) 10:50
ろっくさん☆トラバ&コメントありがとうございました。
いつも面白さの余り、じっくり読むことを忘れてしまってます。
ろっくさんがおっしゃるように、もう一度じっくり読んだら、新しい発見があるのでしょうね。
これからも、よろしくお願いします。m(__)m
投稿: Roko | 2006年8月12日 (土) 11:17
こんばんは★
実は伊坂さん初読みだったのですが、
端正でオシャレで、ちょっぴりキザで、でも嫌みじゃなくて。
そして登場人物たちがカッコイイ。
女性にモテる作品・作家さんですね。
人気の理由が少しわかった気がしました。
伊坂さんの文庫本を積んであるので、
じっくり堪能していきたいと思います。
この作品は、しみじみと愛に満ちていましたね。
お互いがお互いをおもいやる、
言葉にはしないけれど通じるものがある、
そんな優しい心を端正に綴ってあるのが印象的でした。
投稿: Rutile | 2007年6月 1日 (金) 22:24
Rutileさん☆こんばんは
伊坂作品をこれから沢山読めるなんて、いいなぁ!
わたしは新作を待つばかりです。(#^.^#)
投稿: Roko | 2007年6月 1日 (金) 22:41