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『魂萌え !』 桐野夏生

魂萌え !
魂萌え !
posted with amazlet on 05.08.06
桐野 夏生
毎日新聞社

 59歳にして夫に先立たれ、どうして良いか分からない関口敏子さん。遺産相続で子供たちと揉め、これまで知らなかった夫の裏の生活を知り、これまで専業主婦でいかにのんびりと暮らしてきたのかを思い知らされます。

 こういう人って世の中にはたくさんいるんでしょうね。敏子さんも最初はそうだったように、人のいうなりになっていろんな事を決めてしまって、後で冷静になってみれば「なぜわたしはNO!と言えなかったんだろう?」なことばかりなんてイヤですよね。

 敏子さんは夫がいなくなったことで、初めて自我に目覚めたってことなんでしょうか。全ての優先順位が夫やら子供やらにあって、自分は後回しっていう習慣になっていたんでしょうね。何をしても良いんだという立場になって、じゃぁ自分は何がしたいのかって考えてみても、何にもないっていうのは余りにも悲しいなぁ。

 敏子さんと同年代の人達が何人も登場してきますけど、60歳定年っていうのは大きな節目なんだなって考えさせられます。定年退職して満員電車に乗らなくても済むようになったのは嬉しいけど、これまで会社で過ごしてきたのと同じ長さの時間をどう使って良いか分からない男性って多いんだろうなぁ。

 それに付き合わされる奥さんからはブーブー言われるし、だからといってどこへいっていいか分からないしね。じゃぁ旅行へ行こうかといえば、「あなたより友達と行きたい」といわれてしまうし。共通の趣味があるとか、お互いの自由を尊重するとかってことがないと、老後って辛そうだなぁって思います。

 こんな暗くなりそうなテーマを扱っていても、桐野さんの世界は面白い方へ広がっていきます。子供たちとケンカしてプチ家出をしてしまったり、すてきな人にときめいてみたり、友達がアルツハイマー症じゃないかと心配したり、息子のお嫁さんと不思議な共感を持ったりしていきます。

 そうなんですよ、歳を取っていても新しい経験って色々できるんですよね。自分でブレーキを掛けているからできないだけで、本当は何だってできるんですよ。今まで着たことのない色の服を買い、行ったことのない場所へ出かけ、初めて会った人と会話を交わす。そんな小さな冒険だったら、いつでもできるじゃないですか!

 人の心理を描くのがうまい桐野さんですから、この作品でもいろんな心理戦が展開されるんですけど、今回は大人しく見える人の腹の内ってのが見事に描かれています。けっこうみんな腹黒かったり、意地悪かったりってところが、みんなそうなんだよねぇなんて気持ちになってきます。

 桐野さんの描く世界って、不思議なリアリティがあってやっぱり好きだなぁ!

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本を読んだら・・・by ゆうき
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コメント

トラキチさん☆トラバありがとう
確かに、これなら桐野さん初心者に薦めやすそうですね。
普段の怖さはないですけど、人間観察の細やかさは相変わらずですよね。

ゆうきさん☆トラバありがとう
老後ってことをまるで考えずに生きてきてしまったけど、確実にやってくる未来なんですよね。
この本は、それに対する一つの回答なのかもしれません。

ほんと、うまいですよね~。
あぁ、人間ってこういう生き物よねって、すごく思いました。好きな本です!

chiekoaさん☆コメント&トラバありがとうございます。
普通の人にだって冒険はあるし、いろんな選択肢があるんだって事を教えてもらったような気がします。
桐野さんってやっぱり凄いなぁ!って思います。

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