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『日本橋バビロン』 小林信彦

日本橋バビロン
日本橋バビロン
posted with amazlet at 07.11.12
小林 信彦
文藝春秋

 両国橋をはさんで、<両国>と<東両国>という二つの町があった。<両国>の方を抹殺し、<東両国>を<両国>に変えてしまったのは、役人の仕事である。おそらくは歴史を知らず、似た町名が二つあるから、一つは消してしまおうと考えたのだろう。(本文より)

 現在の「両国」は墨田区にあります。ここは国技館のある場所としてイメージする人が殆どでしょうね。1970年頃まで、この場所は「東両国」という地名だったそうです。JRの「両国駅」は、駅ができた当時は「両国橋駅」という名称だったのですが、関東大震災で消失し、再建時に「両国駅」となったのだそうです。

 そもそもこの地名は、武蔵の国と下総の国を結ぶと言う意味で「両国」となったのです。ですから橋の名前は「両国橋」。現在の両国橋と同じ年に生まれた著者の育った家は、「両国」にありました。

 かつて「両国」だった場所は、現在は「中央区東日本橋」となっています。かろうじて年末の薬研堀の市の存在が、かつての賑わいを彷彿とさせますが、昔栄えていたという面影は全くありません。この本に登場するような様々な店があったり、広場に見せ物が出たりしていたとは想像もつきません。

 両国という場所は、本当に不思議な所です。いろんな物ができるけれど、何故か無くなってしまうのです。

 かつての総武線の長距離列車の始発は両国でした。昭和40年代、房総の海へ海水浴へ行くときには両国から電車に乗りました。でも今は千葉方面への長距離列車は東京駅始発となってしまいました。

 横網公園は、かつて陸軍被服本廠があったところです。運動公園にする予定だった場所なのですが、関東大震災時に大勢の方がここで亡くなったのです。その方達の遺骨を安置するために震災慰霊堂が建立されました。さらに東京大空襲の犠牲者の方の遺骨も合わせて安置することとなり、東京都慰霊堂という名称に変わったのです。

 京葉道路沿いにある回向院は、明暦の大火(振り袖火事)の犠牲者を回向する為にできたお寺なのだそうです。このお寺を中心に、東側の両国はかなり賑わっていたのだそうですが、明治に入ってからはすっかり廃れてしまったのです。

 西側の両国は、戦前まではかなり賑わっていたのですね。すぐ近くに柳橋があるので花柳界の人が多く、浄瑠璃や落語などに携わる人が多く住んでいたようです。著者の実家である和菓子店では、常に20~30人の職人さんが働いていたというのですから、かなり大きなお店だったのですね。

 そんな時代があったとは、今となっては想像もできないほど街は変わってしまいました。街というのは生き物なのだなということを感じました。生き物だから、寿命があるのだと。その姿は、誰かが残さなければ永久に忘れ去られてしまうのだと。

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コメント

小林信彦さんぐらいの年齢の方,昭和一桁生まれの方がこの時代の両国や高速道路のできる前の日本橋のことを今書いておかないと、本当にわからなくなってしまうのですよね。

震災や戦争といった避けることができない大きな流れの中で、変わってしまった街両国。
タイムマシンがあったら、戦争前の昭和一桁のころの東京を歩いてみたいと思う私です。

ゆみりんこさん☆こんばんは
かつて繁華街だったのに、その面影すら無くなってしまうなんて、街というのは本当に不思議です。
昭和一桁の頃にタイムスリップできたら、日劇とか、勝ち鬨橋とか、見たいものが沢山ありますねぇ!

Rokoさん こんばんは
私の叔父は深川で8代続く家の人ですが、渋谷や新宿なんてなあ~ ありゃあ東京じゃあねえ、東京ってのは深川や本所のことで、我慢してもいいとこ銀座までだ、と未だ言い張ってます 苦笑 大川の西と東、それぞれの東京人にとっての東京があるところが東京の奥深いところですね。

yoriさん☆こんばんは
わたしは東京の東の端で育ったので、未だに西側には馴染めません。(^^ゞ
東京という町は、あまりにも大きくなり、あまりにも変わってしまったのですね。
こういう本を読むと、昔の東京にタイムスリップしてみたくなってしまいます。

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生まれ育った街には、誰しも特別な想いがあると思う。 たとえそれが辺鄙な田舎の町であったとしても、 たとえそれが無味乾燥した都会の街であったとしても、 生まれた場所、は兎も角としても、 青春という多感な季節を過ごした街というのは、 良いに付け悪いに付け、人....... [続きを読む]

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