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『エーリカ あるいは生きることの隠れた意味』 エルケ・ハイデンライヒ

エーリカ あるいは生きることの隠れた意味
エルケ ハイデンライヒ ミヒャエル ゾーヴァ
Elke Heidenreich Michael Sowa
三修社

 もうすぐクリスマスという時期なのに、ベティは疲れ果てて何もできない状態でした。そんな彼女がデパートで出会ったのが、等身大の豚のぬいぐるみです。そのピンクのふわふわした姿に心を奪われ、思わず買ってしまいました。そして、エーリカという名前を付けたのです。

 エーリカを抱えて歩いていると、みんなが振り返ります。指さして笑う人もいます。触らせて欲しくて、近寄ってくる子供もいます。エーリカを見ると、みんなの顔がパッと明るくなるのです。

 ベティはエーリカを連れて旅に出ました。街でも、飛行機の中でも、出会う人すべてが優しくほほえみかけてきます。仕事で疲れ果て、心がささくれ立っていたベティの心が、エーリカのおかげで優しくときほぐされていったのです。

 日常生活の中で、わたしたちは色んなストレスに囲まれています。肉体的にも、精神的にも耐え忍ぶ生活を繰り返しています。それをしょうがないものとして受け止め続けていると、段々と感覚が鈍くなってしまうのかもしれません。

 わたしの周りを観察してみると、お酒を飲んだり、買い物をしたりということでストレスを発散している人がかなり多いようです。食べ放題やカラオケへ行くいう話も良く聞きます。それはそれで楽しいけれど、何だかストレスのために消費活動をしているみたいで、わたしにとっては、どうもしっくりきません。とりあえず酔っぱらっちゃえ!とか、たくさん食べてやる!なんて、どうも自分を誤魔化しているだけだと思えてくるのです。

 どうしようもないレベルまで悪化して、始めて何とかしなくっちゃと思っても、その時にはもう手遅れなのかもしれないのです。まだ余裕がある内に、自分を苦しめているものが何なのか?を考えてみないとね。

 ベティのように、とにかく日常から離れてみるってことが大事なのかもしれません。でも、旅に出ても日常は容赦なく追いかけてきます。仕事も家族もすべて忘れて1人になってみるには、断固とした決断力が必要です。ケータイのスイッチを切るように、自分の頭の中にある「日常」というモードを切らないと。

 わたしの体験から言えば、じっとしていたのではモードを切り替えるのは難しいです。何かをやってみるということが大事です。これまでやったことがないこと、これまで苦手だと思っていたことをやろうとすると、どうしても必死になります。できるようになりたいともがきます。どうしてできないんだと自分に問いかけます。そんな状態では、余計なことなど考えるヒマはありません。自分を崖っぷちに追いつめることによって、やっと自分が見えてくると思うのです。

 いつもの生活は楽です。一々考えなくても、全てのことは問題なく進んでいきます。いつもの店で買い物をし、いつもの仲間といつもの話題を話し、いつもの友達とメール交換をし、いつも見ているドラマを見て、「ああ、こんな時間になった」と言って寝る。確かに楽だけど、これではただ生きているだけです。何も変わってはいきません。何も発見できません。そんな生活をわたしはしたくありません。

 エーリカは何もしてくれるわけではありません。ただ存在しているだけです。でもその存在がベティを変えてくれました。自分が何と凝り固まった考えで生きていたのかということにエーリカが気付かせてくれたのです。

 自分を幸せにするのも、不幸せにするのも、全ては自分の考え方次第です。誰かのセイで自分は不幸なのだと思ったって、何の得もありません。自分の人生をどうしていくのかは、自分で決めるしかないのです。

 デパートの売り場に座っていたエーリカを見つけた人はたくさんいたはずです。でも、エーリカを買ったのはベティだけでした。そして、彼女の人生は変わったのです。

799冊目

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