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『鼓笛隊の襲来』 三崎 亜記

鼓笛隊の襲来
鼓笛隊の襲来
posted with amazlet at 08.08.04
三崎亜記
光文社

 「まさに戦後最大の、未曾有の規模の鼓笛隊であります!」

 わたしが生まれ育った土地は海抜ゼロメートル地帯だったから、わたしが小さかった頃は、大きな台風が来るとよく浸水していました。強い風が吹いて街路樹の大きな枝が折れて電線を切ってしまったりするので、停電もよくありました。

 だから、明日台風が来るという日は特別の日だったのです。学校も商店も早じまいして、台風のために備えたのです。いつ停電してもいいように、懐中電灯とロウソクとマッチはいつでもセットで用意されていました。

 食事の用意ができなくなるかもしれないから、おにぎりを用意したり、雨戸が吹き飛ばされないように釘で打ち付けたり、床上浸水になる可能性がある時には畳を上げたり、大人たちがいつもとは違う真剣さで働く姿を見るのは、なんだかワクワクするものでした。

 表題作の「鼓笛隊の襲来」を読みながら、そんなワクワク感を思い出しました。どうしようもない大きな力に対しては、真正面から立ち向かうのではなく、何となくやり過ごすようなスタンスが正しいのだということも思い出しました。

 労働者の精神衛生面での権利保護の立場から「覆面を被る権利」を得たという「覆面社員」は、本当にこんな権利が行使される時代が来るかもしれないという怖さがありました。覆面はないかもしれないけれど、匿名での会社勤めというのが、これからは生まれるのかもしれないなと思えたのです。

 「突起型選択装置」の彼女のように、持って生まれた何かのために、特別な扱いを受けてしまうことの悲しさって、いつの時代にもありますね。

 三崎さんが淡々と描く世界って、普通の世界のようでいて、いつもその裏に意外な事実が隠されています。もしかしたら、わたしの背後にもそんな世界が広がっているんじゃないかと、背筋がスゥ~っと寒くなるところが、とても魅力的でした。

 鼓笛隊に立ち向かうオーケストラってイメージが頭から離れません。大音量で演奏するオーケストラって魅力的!できることなら、その場へ行ってみたいくらい。だってわたし、小学生の時に鼓笛隊で、高校の時にブラスバンドだったんですもの。

 音を耳で聞くのではなく、音の圧力を身体で感じるのってホントに気持ちいいんですよ!鼓笛隊の襲来が本当にやってきたら、わたしはきっとついて行ってしまうだろうなぁ。

910冊目(今年93冊目)☆☆☆☆☆

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日本の作家 やらわ行」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
三崎さんの書く世界って本当にこの世界と紙一重というのか、うっかり入り込んでしまいそうですよね。
「鼓笛隊の襲来」は台風の前の大人の真剣さと子どものワクワク感。そんなのを思い出して懐かしくなりました。

ななさん☆こんばんは
>この世界と紙一重
ほんのちょっとの違いなのに、それが決定的な違いになることの怖さを感じました。
もしかしたら、わたしの知らない何かがすぐ隣にあるのかも?

こんにちは~♪
そうなんですよね。自分達の世界にも紙一重でこのような世界があるのかも?という怖さがありました。

実は私も小学校の時は鼓笛隊、中学はブラスバンド、高校大学社会人とオーケストラやってました!(笑)音の圧力を耳だけじゃなく全身で感じるのって鳥肌が立つくらいすごく気持ちいいですよね♪

板栗香さん☆こんばんはnote
おお、音楽三昧の人生じゃないですか!(*^^)v
大音量の快感って堪らないですよね~!!

「勢力を弱めながらマーチングバンドに転ずる」にやられました。
三崎ワールドはやっぱりたのしい!(^^)そういえば台風って昔はもっとわくわくしてました。
私もこんな鼓笛隊なら一度ついていってみたいです。
対抗していたオーケストラはもしかしたら自衛隊の人たちなのかもしれませんね。

日月さん☆こんばんは
鼓笛隊>マーチングバンド ってことですよね!
スネアドラムをぶら下げて行進した小学生のころのことを思い出しちゃいました。
(#^.^#)

こんばんは~TBありがとうございました♪
今も台風来てますが、確かに台風が来るって、何だかわくわく感がありますよね。まぁ、うちの地域はそれほど被害がない地域なので、こんなこと言ってられるのですが・・・Rokoさんの実家は大変だったでしょうね。

覆面社員、面白かったです。確かに匿名で暮らす社会というのも近未来にやってくるような気もします。

ありえないようで、いやありえるかも?と思える三崎ワールド、楽しかったです。ほかの作品もこんな感じでしょうか?

EKKOさん☆こんばんは
昔は台風が来る前の日は仕事や学校は休みになっちゃって、いろんな準備するのを、みんな少しは楽しんでいたような気がするんです。
確かに浸水すると大変ですけどねぇ、みんな慣れたもんでしたよ (o^-^o)

他の作品には、更に驚くような世界が広がっているので、是非読んでみてください!!
おススメしまーす!

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