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『移民環流 - 南米から帰ってくる日系人たち』 杉山春

 ブラジルではコーヒー農園で働かせるために、かつては奴隷を輸入していました。それが1888年に禁止となり、イタリアから多くの移民を受け入れました。移民という形をとっていても、労働条件は奴隷と変わらない劣悪さで、イタリア政府はブラジルへの移民を禁じました。

 1885年から、日本はハワイへの移民を積極的に行っていたのですが、現地で様々な問題が起きてしまい別の移民先を探していたのです。

 そして1908年に日本はブラジルへ初めての移民を送り出したのです。それはちょうど100年前のことです。

 そして1990年に日本の法律が変わり、3世までの日系人およびその家族は合法的に日本で働けるようになりました。すると、昔とは逆にブラジルの日系人が日本に出稼ぎに来るようになったのです。現在、日本に暮らすブラジル人は約30万人。ペルーも加えた南米出身の外国人登録者数は37万人を超えるのです。

 今働いている所より、少しでも給料の良い所があればすぐに移動してしまう彼らの殆どは、派遣労働者として働いているのです。工場などの単純労働に従事していることが多い彼らは、少しでも多くの収入を得るために長時間労働をしています。

 何年か働いてお金を貯めたら、国に戻って大きな家を建てて楽しく暮らそうというのが、彼らの目標なのですが、仕送りするだけで精一杯だったり、身体を壊してしまったり、なかなか上手くはいきません。

 ある程度お金を作って母国へ戻っても、治安のいい日本の生活に慣れてしまうと、治安の悪さに苛立ったり。日本でムダ遣い癖がついて、それが治らなかったり。結局は日本に戻ってきてしまう人が多いというのも、悲しい事実です。

 そしてもう一つの問題が子供たちの教育です。日本の学校になじめなくて不登校になってしまったり、そもそも学校へ行っていなかったり、教育を受けていない子供がたくさんいるというのです。

 更に驚きなのが、親達が長時間労働しているために子供たちと一緒に過ごす時間が短いために、日本語はおろか母国語さえもまともに使えない子供達が増えているというのです。会話はできるけれど文字が分からなかったり。子供同士の会話しかしていないので、複雑なことや仕事の話ができない大人が増えているというのです。

 そして親たちも、どんどん壊れていくのです。創意工夫する余地のある仕事であれば、仕事の中に楽しみもあります。努力しようという気持ちも湧きます。長時間単純労働をしているものだから、何も考えなくなってしまうというのです。自分のことも、子供のことも、将来のことも、何も考えなくなってしまう・・・

 これは彼らだけでなく、日本の労働者にとっても同じ事態が起きていると思うのです。本当はもっと何かができる能力があるのに、それを考えることをやめてしまう方向にしか進まない日常生活が毎日営まれているのです。

 将来を担う子供たちを育てることもできず、自分たちの夢もなく、ただ日々の生活を営むためだけに働く毎日が、めんめんと繰り返されていくなんて!

 日本という国を本当に建て直していこうとするなら、すべての人に考えるゆとりが必要なのだと、すべての人に心休まる家庭や友達が必要なのだと、改めて考えさせられました。

967冊目(今年2冊目))☆☆☆☆

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