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『脱出記』 スラボミール・ラウイッツ

脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち (ヴィレッジブックス)
スラヴォミール ラウイッツ
ヴィレッジブックス

 ポーランド陸軍騎兵隊中尉だった著者はソ連軍の捕虜となり、強制労働25年の刑を受ける。1941年、西シベリアの第303収容所に送られるが脱走し、1年余りかけてインドに逃れた。(著者略歴より)

 goldis さんにご紹介いただいたこの本、本当に素晴らしかったです。人間はやる気にさえなれば何でもできるのですね!

 「シベリア抑留」は、わたしが小さい頃にはよく聞いた言葉でした。第二次世界大戦時にソ連の捕虜となった日本人も大勢シベリアへ送られ、その多くが彼の地で亡くなったのです。生き残った方たちも、他の国の捕虜になった方たちよりもかなり遅れて戻って来たという話もよく耳にしました。

 この本の著者スラヴォさんが、スパイ疑惑で25年の刑を受けることになったところから物語は始まります。横暴なソ連の軍隊は、ソ連以外の人間のことなど、およそ人間だとは考えていませんでした。

 収容所から逃げる行程も確かに凄かったのですが、軍隊に連れられてシベリアの収容所へ行く道のりも、想像を絶する酷さでした。

 モスクワ近郊からギュウ詰めの貨車に乗せられて1か月、シベリア鉄道の終点イルクーツクに着きます。ここから鎖につながれて雪のシベリアを歩いて行くのです。これもまた1か月。貨車の中でも、徒歩の旅の中でも何人もの人が死んでいきます。

 最終的に到着した第303収容所で最初の仕事は、自分達が暮らす建物を作ることでした。森へ行って木を切り倒し、自分たちで建物を設計して作り上げていきます。ソ連軍がしてくれたのは、大工道具を貸してくれたことと、食事の用意のみです。

 2か月以上もかけて捕虜を連行するなんて、他の国ではあり得ないことです。そして、連行されている人たちが、自分を護送しているソ連軍の軍人も大変だよなぁと話しているところが不思議な感じでした。

 ソ連は自国の人間のことも大して大事にしてないんだなぁというニュアンスが伝わってくるのです。やがて崩壊していくこの国にいた人たちは、どんな思いで生きていたのでしょうか?

 7人の男たちが収容所から脱出しました。そこは冬のシベリアです。普通に考えたら、そんなことをするなんて出来るわけがありません。でも、どんなにリスクが大きくても、彼らは掛けてみたのです。こんな所にじっとしているよりは、自由になれる可能性を追い求めた方がいいと決断したのです。

 今いる場所が最低な場所なのに、それ以上ひどくなることが怖くて1歩を歩みだせないという状況って、実は今のわたしたちの置かれた状況そのものであるように思えたんです。ここに居続けることが一番悪い手なのに、それ以外の手を見出せなくなっているのは何故なのか?

 やってみる前から「無理だ!」と言うことは簡単です。そして、無理だと思っているうちは何もできないのです。

 「もしかしたら出来るかもしれない」と考えること、とにかく最初の一歩を踏み出すこと、それが大事なのだということを、収容所からから脱走した7人の男たち、そして途中から加わったクリスチーナに教えてもらいました。

 脱出の第一歩を後押ししてくれた大佐夫人は、素晴らしいアドバイスをしてくれました。

 「ここからどうやって抜け出るか、ご自分で計画を立てて、あとは、一路南を目指す。大雪の日を待つといいでしょう。そうすれば足跡が消えます。」

 最低だと思えるような状況だからこそ、できることもあるのだと。

 この本は1956年に初版が出て以来、25ヶ国語に訳されています。

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コメント

おおっ、読まれましたか!
これを読めば生きるのに何の不安もなくなりますね。
どん底の環境ならば歩いて脱出すればいいだけのこと。
生きるのに役に立つ本物の哲学書でしたね。

goldiusさん☆おはようございます
思考が硬直してしまうと可能性に気づくことすらできなくなってしまうのですね。
どんな状況に陥っても諦めないことの大事さを教えてもらいました。
素晴らしい本のご紹介ありがとうございました。

この話、本当に壮絶な話ですよね。
だいぶ前に読んだのですが、ぐいぐいと引き込まれてしまったのを覚えています。もう一度読み直そうかな。

yomikakiさん☆こんばんは
ホント、壮絶な話でした!
わたしも何年か経ったらもう一度読んでみたいと思ってます。

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