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『ビートルズ都市論』 福屋 利信

 1960年代の飛行機時代到来以前は、物流輸送の主流は船舶であり、港町は音楽の流入に対しても大きな優位性を持っていた。アメリカ南部の綿花畑で黒人たちによって収穫された綿花とともに、ロックンロールのレコードも、ロンドンのヒースロー空港より、ニューオリンズとの間に定期航路を持つリヴァプール港の方に、いち早く届いた。

 リヴァプールはニューヨークとの間にも定期航路を持っており、イギリスのどこよりもアメリカに近かった。

 労働者の街、アイルランドからの移民が多い街、アフリカやインドからやってきた人も多く住む町、リヴァプールはイングランドの北の入口でした。

 南のロンドンからは、ただの田舎、低所得者ばかりが住む貧しい場所としか思われていなかったリヴァプールにマージービートが生まれたのは、そういう地の利があったからこそなのです。

 何の保証もないけれど、自分たちは絶対にビッグになると信じていたビートルズはリヴァプールで生まれ、ハンブルグの街で様々なことを学びました。レコード・デビューするためにロンドンへ行き、大成功を納め、ワールド・ツアーで東京へもやってきたのです。

 ビートルズに関する本は星の数ほどあります。そのほとんどが音楽中心に書かれたものなのですが、この本は切り口が全く違うんです。当時の時代背景、その街がどんな様子だったのか、街が彼らにどんな影響を与えたのか。そしてビートルズによって街がどう変わっていったのかが書かれています。

 よくぞこれだけの資料を集めたなぁと感心しつつも、ファンってこういうものなんだよなぁとも思える著者の熱心さが、とても心地よい本でした。

 ビートルズが来日した当時の東京の様子も何となく懐かしいし、今ではありえない厳重な警備体制なんてのも、とても興味深く読むことができました。

 ビートルズ・ファンなら、是非読んでください(笑)

1265冊目(今年6冊目)☆☆☆☆☆

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