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『蒸発』 デイヴィッド・イーリイ

Photo  このブログを始めてから、絶版になっている本を何冊か読んだ事はありますが、Amazonのマーケットプレイスにもない本というのは初めてです。幸い図書館の閉架書庫にありました。1963年にアメリカで発行され、1969年に翻訳されて日本でも出版されました。

 原作はアメリカでかなり評判が良かったようで映画化もされています。(日本では未公開)

 追記:「セコンド」という邦題で公開されていたそうです。情報をくださった hackerさん、ありがとうございました。
 映画の詳細は こちら で確認することができました。

 もうすぐ50歳になろうかという、出世コースに乗っているエリート男性が、それまでの人生を捨てて別の人生を歩んでみたくなったという事から物語が始まります。

 別に何か不満があるというわけではないのだけれど、何不自由ない生活に飽きがきてしまったのでしょうか、蒸発してみたいなぁと思ったのです。

 家族や友人の前からただ単に消えただけでは、家族が捜索したりして問題が起きる可能性もあるので、病死や事故死といった家族に納得してもらえる消え方を選択して、自分は別の人としての人生を生きていくということを、主人公は選択したのです。

 この50年も前に書かれてた本を読んでまず感じたのは、古さをちっとも感じないという点です。というよりも、このテーマは現代の方がより身近な感じがするのです。主人公が新しい人生を手に入れるためにとった手段を、今の世の中でやってみようと思う人がいそうな気がするのです。(本当にいるかもしれないとすら思えます)

 原題の「Seconds」は、新しい別の人生のことを意味しているのでしょう。新しい人生で何をするのか、そこに大きな価値を見出せるのかどうかが、この計画を上手くやって行けるかどうかのキーなのですが、主人公の男性はそこを深く考える前に実行してしまったのです。

 実行してしまってから、彼は自分の家庭の事を気にし始めるのです。もう、自分は死んだことになっているのにね!

 こんな面白い本、復刊していただけないかしら?

1607冊目(今年50冊目)☆☆☆☆☆

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