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『デラシネの時代』 五木 寛之

デラシネの時代

五木 寛之

 高校生だったころ、五木さんの本をいろいろと読みました。その中に「デラシネの旗」という小説があって、デラシネとはフランス語で「根なし草」という意味なのだということをその時に知ったのです。

 今の時代は、これまでのように寄らば大樹の陰では生きていけなくなりました。どんなに大きな会社でもつぶれるときはつぶれます。高学歴なら一生安泰なんてこともありません。わたしたちみんながデラシネ(根なし草)のように、何処へ行ってもそこに順応して生きていくことが求められる時代になったのです。

 ある時代に信じられていたことが、時と共に間違っていたと気付くことがあります。ある日突然、正反対のことが真実だったと知らされることもあります。変化し続ける世の中を生きていくとき、自分はどう考えるのか、どうしたいのか、そこに重きを置かねばと思います。

 笑うことは良いことだというのは、誰しも信じていることですが、それだけじゃないんだよと五木さんはおっしゃいます。泣くことも、悲しむことも、触れ合うことも、怒ることも、どれもが大事なのだと、感情を表に出すことが大事なのだと。

 そうですね。心を開放することこそが、自分を見失わないために必要なことなのですね。他人に気兼ねすることよりも、自分に正直になること。見たものや聞いたもの、触れたものに対して、何かを感じること、それを言葉にすること、身体で表現すること、それこそが人間らしい生き方なのですね。

1370冊目(今年25冊目)☆☆☆☆☆

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