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『東京に暮す 1928~1936』 キャサリン・サンソム

東京に暮す 1928~1936

キャサリン・サンソム
Katharine Sansom

大久保美春(オオクボ ミハル) 訳

 キャサリンは1927年に最初の結婚相手と離婚し、外交官であるジョージ・サンソムと赴任地日本に行き、1928年に横浜で結婚の手続きをし、5月28日東京の英国大使館のジョージの宿舎で結婚式を挙げた。ジョージ・サンソムも再婚であった。2人は幸せな結婚生活を送り、日本の政治情勢が極めて悪化する1939年5月まで東京に滞在しました。(解説より)

 

 キャサリンさんは好奇心豊かな方で、日本で初めて見るもの触るものすべてに興味を持ちました。食事、子供の育て方、家の作り、家族制度など様々な点をイギリスと比較してみています。そして、日本の優れたところを数多く見つけています。

 

 子どもを大事にすることや、みな笑顔を絶やさないこと、親切であることなど、日本人の美点を沢山上げています。その一方で、女性の居場所が家庭の中に限られてしまっていることに疑問を持っています。食事、掃除、洗濯、子供の世話などをしながら、夫が家に帰ってきたら着替えの用意までしているのにびっくりしているのです。

 

日本では何をするにも女性の世話になるので、こういう生活になれている日本の男性が現状を変えたがらない気持ちも良くわかります。日本の男性でなくてもそうですから。(本文より)

 

 彼女が日本にやってきた1928年(昭和3年)東京にはデパートもタクシーもある時代です。一般の人の洋装も少しずつ増え、生活の西洋化がかなり進んできたのに、家制度は昔とまるで変わらず、家長は男性だけれど、実際に家を切り盛りしているのは女性というのが普通で、どんなに女性が教養を積もうと、外の世界へ出ることはまずないということに疑問を感じています。

 

 イギリスでも、身分が合わなくて結婚できないというようなことはあったけれど、夫の両親や兄弟が同居する家へ女性一人が嫁に入るという制度はなかったというのです。経済的にゆとりがあれば、子供の世話や家事を誰かに頼むことは普通だと何度も言及しています。イギリスでは、全寮制の学校へ子供を入れる人が多いというのは、こういう考え方が一般的だからなのでしょうね。

 

 日本は90年以上たった今でも、家が根本にある家族制度から、まだ脱却できてないんだなぁと思います。そして、親子であっても個人を尊重するという考え方がヨーロッパには元々あったのだということを強く感じました。

 

日本では大抵70歳までに家や仕事における長としての地位を次の世代に譲ります。だから日本では、西洋でよくあるように老人や老婆が財布ばかりか、財力がもたらす権力にしがみついて離れないというようなあさましい人はほとんど見られません。

 

 当時の日本人は寿命が今より短かったということもあるでしょうけど、ある程度の歳になったら家や仕事の長という立場を若い人に壌ることをきちんと考えていたのですね。いつまでも権力にしがみつくような「あさましい」人が増えてしまったのは、何故なのでしょう?

 

 この本を読んでいて感じたのは、昭和3年から11年という時代が明るくていい時代だったんだなぁということです。キャサリンさんは山登りに行ったり、温泉に入ったり、結構いろんなところを旅しています。外国の人が行ける場所は限定されていたのかもしれないけれど、でも彼ら外国の人を迎える日本人にゆとりを感じるんです。

 

 関東大震災から復興し、太平洋戦争に突入するまでの奇跡のような平和で美しい時代にキャサリンさんは日本に滞在されていたのです。戦争さえなければ、もっと長く日本に滞在し続けたかもしれないのです。

 80年~90年も昔のことなのに、ついこの間のことのように感じてしまうのは、キャサリンさんが心から日本を楽しみ、愛しているからなのでしょうね。彼女のような優しい目で日本を見ていた人がいたということに、とても驚いています。

1896冊目(今年201冊目)

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