43 エッセイ・対談

『女たちよ!』 伊丹十三

女たちよ! (新潮文庫)
女たちよ! (新潮文庫)
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伊丹 十三
新潮社

 茹ですぎたスパゲッティの水を切って、フライパンに入れ、いろんな具を入れてトマト・ケチャップで炒める。しかも運ばれてきた時にはすでに冷え始めていて湯気も立たぬ。これをあなたはスパゲッティと呼ぶ勇気があるのか。ある、というなら私はもうあなたとは口をききたくない。(”スパゲッティのおいしい召し上がり方”より)

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『スーパーマーケットいらっしゃいませ』 平野恵理子

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『くちぶえサンドイッチ』 松浦弥太郎

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『本業失格』 松浦弥太郎

本業失格 (集英社文庫 ま 17-1)
松浦 弥太郎
集英社

 サンフランシスコには美味しいコーヒーを飲ませてくれるヨーロピアンスタイルのカフェはところどころに沢山ある。エイコラと坂を登ってノースビーチに足を伸ばせば、それこそ文豪が集った歴史あるカフェで時を過ごすこともできる。しかし、ここテンダーロインのホテルで、毎朝、寝ぼけまなこでドーナツ片手にゆっくりと飲むコーヒーが一番うまい。もしくは、インド人が家族で営むデリで買う1ドルの食後のコーヒー。寝付けなくて深夜ひとりでダイナー飲むコーヒーがうまい。そうそう、ここのコーヒーポットに「FUCK STARBUCKS!」と書かれた紙が貼ってあったのには、「うんうん」とうなずいた。

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『伊坂幸太郎×斉藤和義 絆のはなし』

伊坂幸太郎×斉藤和義 絆のはなし
伊坂 幸太郎 斉藤 和義
講談社

いまから5年前。会社勤めをしながら小説を書いていた伊坂幸太郎は、斎藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」という曲を聴いたことがきっかけで、会社を辞めて小説に専念する決心をした。

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『哲学個人授業』 鷲田清一、永江朗

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『すべての愛について』 浅田次郎

すべての愛について
すべての愛について
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浅田 次郎
河出書房新社 (2006/12/13)

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『午前4時、東京で会いますか? ― パリ・東京往復書簡』 シャンサ、リシャール・コラス

午前4時、東京で会いますか?―パリ・東京往復書簡
シャン サ リシャール・コラス
ポプラ社

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『グアテマラの弟』 片桐はいり

グアテマラの弟
グアテマラの弟
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片桐 はいり
幻冬舎 (2007/06)

 はいりさんの弟さんはグアテマラに住んでいます。彼を訪ねてはいりさんがグアテマラへ訪れたのです。弟の家族、近所に住む人々、食べるもの、習慣、すべてが驚きの連続です。

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『日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」』 フランソワ・デュボワ

 キャリアという言葉の語源はラテン語のcarrariaです。この意味は、実は「道」といったものなんですね。(本文より)

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『博士の本棚』 小川洋子

博士の本棚

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livedoor BOOKS
書評/国内純文学

 同じお母さんから産まれた兄弟でも性格が異なるのと同じで、小説も一冊一冊、背負っている運が違う。暗い小説だから暗い運、明るい小説だから明るい運、というわけではなく、内容とは全く無関係のレベルで、また作者の意図とはかけ離れたところで、本はそれ自体で自分の運命を生きる。(本文より抜粋)

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『波止場日記』 エリック・ホッファー

波止場日記―労働と思索
エリック ホッファー
みすず書房

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『カッパでもどうにかやっている』 アランジ・アロンゾ

カッパでもどうにかやっている
アランジ・アロンゾ
角川書店 (2007/03)

 わたしの大好きなカッパくんが東京で一人暮らしを始めました。

 この表紙の写真はお茶の水ですね。聖橋をバックにポーズを取るカッパくん、なかなかの男前です。

Photo  有楽町阪急で行われていたアランジ・アロンゾ特設ショップへ今日行って来ました。小さなコーナーだったけど、アランジ・アロンゾの楽しい仲間が沢山いて楽しかった~!

747冊目

 

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『東京江戸歩き』 山本一力、金澤篤宏

東京江戸歩き
東京江戸歩き
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山本 一力 金澤 篤宏
潮出版社 (2007/04)

 昭和37年に高知から上京した一力さんは、新聞専売所に住み込みを始めました。その頃は、東京オリンピック開幕へ向けて競技場や首都高速の建設が進んでいたのです。まだ戦後を引きずっていた東京が、大都市へと変貌する第一歩を歩み始めた頃でした。(この頃の話は、ワシントンハイツの旋風 に書かれていました)

 東京に憧れていた一力さんは、暇を見つけては東京の町を歩き回ります。憧れの石原裕次郎に会えるのではないかと銀座へ行ってみたり、力道山が闘った千駄ヶ谷の体育館を見に行ったり。

 一番ステキだなぁと思ったのは、広沢虎造の十八番、森の石松の話に登場する「江戸っ子だってねぇ!」「神田の生まれよ」に憧れて神田へ行ったという話です。神田の本屋に飛び込んで、「鮨食いねぇの店は何処ですか」と聞いた一力さん。安くて美味しい鮨屋をその店の店主に教えてもらったというエピソードに、何だか嬉しくなってしまいました。

 一力さんの文章ももちろんですが、写真がステキなのです。銀座のガード下、アメ横の混雑、柳橋の屋形船、新木場の貯木場。今ハヤリの東京じゃなくて、昔から変わらない東京の風景です。キレイでもないし、上品でもない、都会の疲れみたいなものが染み込んだ、薄汚れた裏道の風景が何ともいえずステキなのです。

 誰も住んでいない町は、本当の町ではないのです。そこに住みついている人がいて、通り過ぎていく人を見守ってくれるからこそ、町は存在しているのです。長い時間をかけて守り続けている何かがあるからこそ、そこは町なのです。

 みんなが憧れる都会としての東京は、何だかギラギラしていて嫌いだけど、人間の匂いがする東京は大好きです。だって、わたしの故郷なんだもの!

739冊目

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『“手”をめぐる四百字 文字は人なり、手は人生なり』 季刊「銀花」編集部

“手”をめぐる四百字   文字は人なり、手は人生なり
季刊「銀花」編集部
文化出版局 (2007/01)

 「”手”をめぐる四百字」の連載は、季刊「銀花」が百号を迎えた時に始まりました。ちょうど編集部にワープロが導入された頃です。~中略~ まっさらな容姿に均一なパソコン文字が並ぶことがあたりまえになって、しかし肉筆文字はその存在感を増し、一段と強い光を宿し始めたのではないでしょうか。(”あとがき”より)

 400字詰め原稿用紙に書かれた50人の手書文字は、1つとして似ていないのです。小さな字、大きな字、力強い字、繊細な字、字を書いた人間の気持ちが文字の姿を借りてそこに存在しているという風情なのです。

 原稿用紙に書く文字ですから、当然誰かに読まれることが前提の文字です。それなのに、誰かに読まれるということを否定しているような文字もあれば、筆跡を見ただけで思わず読みたくなってしまう文字もあって、「ああ、これが個性というものなのか!」と感心してしまったのです。

 一際目を引いたのは浅田次郎さんの文字です。まず素晴らしいのは、文字自体にリズムがあるんです。思わず読みたくなる文字なのです。400字詰原稿用紙全体を見たときに、文字のバランスが実に美しいのです。こんなに美しい文字だったら、本一冊全部が自筆でもいいなぁと思えてきます。

 文字のバラエティ豊かさもモチロンですが、皆さんが使っている原稿用紙のバラエティの豊かさにも心を惹かれました。学生時代に作文を書かされたコクヨの原稿用紙もあれば、伊東屋さんや紀伊国屋さんのものもあります。出版社や会社の原稿用紙の方もチラホラ。

 文筆業の方は、オリジナルの原稿用紙を使ってらっしゃる率が高いんですね。自分の名前が刷り込まれた原稿用紙に文字を書くって憧れちゃうなぁ!

 わたしも400字で「手」をテーマに書いてみました。

 「器用な手」

 わたしの父も母も手先がとても器用な人達である。わたしはそれを見て育ったので、自分程度の器用さは普通だと思っていた。
 小学校に入った頃だろうか、それはどうも違うらしいということに気付くようになった。世間の人達は、我が家の常識から考えたら「不器用な人達」ばかりなのだ。
 靴紐を縦結びにするなんて、わたしにはできない。編み物だって、大根の桂剥きだって、見よう見真似で出来てしまう。男友達の取れそうになっているシャツのボタンを付け直してあげて感激されたこともある。
 器用であることは一見便利だけれど、その分わたしは人に甘えることが下手だ。誰かに助けを求める事なんて殆どない。そういうところは実に不器用なのである。
 「そんなのムリ~!誰かやって!」なんてセリフを一度でいいから言ってみたい。「よしよし、やってあげよう。」という優しい人に「ありがとう、頼りにしてるわぁ!」なんて可愛く言ってみたい

726冊目

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『祝!中古良品 アカセガワ版養生訓』 赤瀬川源平


祝!中古良品 ―アカセガワ版養生訓

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livedoor BOOKS
書評/ライフスタイル

 人間の体は新品ではあり得ない。必ず中古品である。(本文より)

 そう、間違いなく中古品です。耐用年数が何年なのかはその人次第だけど、どんな人でも間違いなく性能が悪くなっていきます。睡眠時間をキチンと取っているのに疲れが取れなかったり、何処にぶつけたのか分からない痣ができていたり、その痣がなかなか消えなかったり、腰が痛かったり、目がかすんだり、いろんな症状が出てきます。(^_^;

 それを少しでも食い止めようと、いろんなことを試してみます。食べ物に気を付けたり、運動をしたり、ちょっと試すことはできても、ずっとやり続けることはなかなかできません。「明日からやるから~」ってつい言っちゃうから。

 アンチエイジング、デトックス、プチ整形、いろんな方法で中古品を少しでも美品にしようとみんな頑張ってます。たとえ成果が上がらなくても、失望する必要はありません!そうやって試行錯誤している間は、さび付くことはないはずですもの!

723冊目

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『見えない誰かと』 瀬尾まいこ

見えない誰かと
見えない誰かと
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瀬尾 まいこ
祥伝社 (2006/12)

 瀬尾さんが出会ってきた方々が次々と登場するのですが、どの方もステキなんです!教師として新人だった頃、先輩の先生方に教わったこと、授業を教えていた生徒達から教わったこと、人生って毎日が勉強なんですね。ステキな人達との出逢いが瀬尾さんというステキな作家を作りあげたんだということがよく分かりました。

 講師として様々な学校で教えていたことが、かえって瀬尾さんの世界を広げたような気がします。小さな学校、大きな学校、自由な学校、どの学校からも色んな事を学んできたんですね。(#^.^#)

 学校のことも、家族のことも、とても自然に書かれていて、まるで個人的な日記のような感じすらしていますけど、それこそが瀬尾さんらしさなのかなぁ?日常の些細なことをしっかりと見つめる彼女の文章は、やっぱり爽やかですねぇ!

722冊目

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『ボールペンとえんぴつのこと』 宇井野京子

 銀座へ行ったら必ず寄ってしまう可愛いお店「五十音」。あの立地は本当に奇跡のようですね。銀座四丁目の交差点からすぐの所なのに、すぐ前にはお稲荷さんがあって、看板猫?のふーちゃんがドアの前でお昼寝していて、静かな雰囲気はジックリとペンを眺めるのにピッタリです。

高級なものや、有名なメーカーのものだけが良いペンってわけじゃない。安いものだって、タダでもらったノベルティのペンだって、お土産でもらった怪しいペンだって、気に入ってしまえばみんな宝物だもんね!

 このお店に並んでいるペンたちは、みんな宇井野さんのお眼鏡にかなったものばかり。可愛いといっても、決して女女しくなく、かといって重厚感溢れるっていうのでもなく、ちょっと懐かしくて、素敵なもの。そんな感じがこのお店に溢れています。

 五十音に行くと、あれもこれも欲しくなって困っちゃうんですよ!ガラスのケースの中に素敵なペンを見つけてしまうと、思わず見入ってしまいますねぇ。今度はいつ行けるかなぁ?行くのが楽しみでもあり、ちと怖くもある五十音です。(#^.^#)

655冊目

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『三四郎はそれから門を出た』 三浦しをん

三四郎はそれから門を出た
三浦 しをん
ポプラ社

 それにしても活字中毒の人って、どうしてみんなこうなっちゃうんだろう!

 ・本屋さんに毎日行かずにいられない。
 ・気がつくと本棚に空きはない。
 ・友達が遊びに来たときに、本棚を見られたらヤバイと思っている。
 ・本を持っていないとカフェに入れない。

 しをんさんの小説はクールなのに、このエッセイ集は正反対!妄想だらけの毎日を、弟さんやお母さんに突っ込まれまくりで、ちびまるこちゃんのようなトホホ生活を送ってるとはねぇ!

 こんなに面白い人がどうして男にはモテないのか?お芝居や温泉も好きだけど、暇さえあれば本を読んでいて、これじゃステキな人と出会う閑なんかなさそうですけどね。女性の作家には、こういうタイプが多いのは何故なんでしょう?

652冊目

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『いしいしんじのごはん日記』 いしいしんじ

いしいしんじのごはん日記
いしい しんじ
新潮社

 いしいさんの作品を読むといつも「フシギ~!?」と思うんだけど、その秘密がちょっと分かってしまう本でした。

 ご飯を食べたり、美術展を見に行ったり、市場に買い物に行ったり、友達と飲みに行ったり、そんな普通の生活がオモシロイ!本人には何の意識もないのだろうけど、石井さん自身がナチュラルにおもしろい人なんです!

 この本の真中あたりに写真のページがあって、いしいさんの家族の写真が出てくるのですが、これも面白い!家族で海に行ったりしている普通の風景なんですけど、クスクスっと笑っちゃう感じがするんですよ。

 この本は、webで公開されている日記を書籍化したものなんです。
 ちょっとのぞいてみてごらん♪

 いしいしんじのごはん日記 のサイトは → こちら です。

650冊目

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『独白ニュースレター』 松浦弥太郎、長尾智子

独白ニュースレター
独白ニュースレター
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松浦 弥太郎、長尾 智子
DAI‐X出版

 カウブックスの松浦さんと、料理研究家の長尾智子さんの交換書簡です。

 美味しいものを食べた時、面白い本を読んだ時、それを誰かに伝えたいという気持ちになることがあります。そんな時に、いい反応をしてくれる友達がいると、美味しさや面白さが倍増しますよね。

 「いいよねぇ!」「わたしも好き!」「へぇ、そんなのがあるんだ!」という雰囲気が、2人の文章から漂ってきます。同じ場所にいなくても、同じ体験をしているような感覚ですね。

 同時に体験しているのではなく、想像で体験しているからこそ、実際よりも感動が増幅しているのかも?ということだってあります。(*^_^*)

 持つべきものは、自分の感性を理解してくれる友達ですね!

 一人で旅に出て、誰かに自分の気持ちを伝えたくて手紙を書くってことを、最近の人は忘れてしまっているような気がします。はがき一枚であっても、感動は伝えられるのに!

 本の中で長尾さんが旅したバスクへ、わたしもいつか旅したいと思っています。だから、長尾さんの新刊「わたしとバスク」は是非読まなくっちゃ!

641冊目

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『私という病』 中村うさぎ

私という病
私という病
posted with amazlet on 06.11.26
中村 うさぎ
新潮社

 確かに、私は茨姫だ。ただし童話の茨姫は魔女の呪いによって眠らされ、城の周囲に茨を張り巡らせたのも件の魔女の仕業であるが、私の場合は、城に茨を張り巡らせたのも自分なら、城の奥で「もうひとりの私」を強制的に眠らせているのも自分自身なのだ。そう。私は「眠れる姫」であると同時に、姫に呪いをかけた「魔女」でもあるのだ。 (本文より抜粋)

 買い物依存症、美容整形、そしてついにデリヘル嬢体験まで、中村うさぎは何と率直に自分を表現してしまう人なのだろう?余りにもエスカレートしていく彼女の思考の根源を、自分でも分からずに右往左往していた彼女が、ついにその確信に近づいてきたようだ。

 中村うさぎは「劣等感」と戦い続けてきた。どうして自分が思い浮かべる理想像になれないのか?どうして自分は他人から認められないのか?どうして自分は美しくないのか?どうして?どうして?

 私はバカだから、体験を通してしか、物事を認識できない。体験もせずに理論だけで、隠蔽された現実をくまなく見渡す能力など、私にはないのである。だから、私はまず体験する。体験した後で、自分の肉体や心の声に耳を傾けつつ、その問題を考えてみる。それが、私のやり方だ。

 そんなところが中村うさぎの素晴らしい所なのだと思う。わたしも含めた世の中のほとんどの人は、実際にやってみないで結論を出してしまう。ほとんどの場合、何もせずに「無理だ」というか、「そのうちに」と言う。だから、身近な誰かがそれをあっさりやってしまうと、「運が良かった」などと露骨にイヤミを言う。あるいは「あの人だから」と別格化する。そして、それが自分を納得させるための詭弁だということには気付かない。

 人間は自分がイメージしたものになるという。逆に言えば、イメージできないものにはなれない。「お金持ちになりたい」とか、「美人になりたい」というような欲望は誰しも持っている。でも、その気持ちをストレートに実行する人はなかなかいない。

 そんな自分の気持ちに正直に生きている中村うさぎは、どんどん体験を重ね、自分を苦しめているものの実態を理解しつつある。今まで自分の敵と戦い続けてきたというのに、それがとんでもない勘違いだったということに気付いてきた。自分の足を引っ張っていたのが自分自身だったとは!

 この気付きは、実は彼女だけの問題ではなく、すべての人に当てはまることなのだと思う。自分で勝手に決めてしまっている限界。自分で勝手に諦めてしまった夢。自分で勝手に壊してしまった自分の世界。中村うさぎのようにあがくことこそが、自分は何者なのかを見出す唯一の方法なのかもしれない。

 わたしには中村うさぎほどの勇気はない。思ったことすべてをやってしまう行動力もない。でも、私の中にも彼女と同じ疑問が渦巻いている。それをクリアにする為には、動き出すしかない。とにかくやってみることの大事さを強く感じる。

 やらずに諦めてたまるか!

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『わたしのマトカ』 片桐はいり

わたしのマトカ
わたしのマトカ
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片桐 はいり
幻冬舎 (2006/03)

 はいりさん、これが始めての本だなんて信じられない!もの凄く面白かったですよ!

 あの かもめ食堂 で始めて訪れたフィンランドでの出来事が書かれているのですが、どれもこれも「!」や「?」なことばかり。読んでいるうちに、かもめ食堂の映像が頭の中に浮かんできます。

 はいりさんは食いしん坊だから、いろんな食べ物にトライしてますねぇ。トナカイの肉にリンゴンベリーのソースをかけたものなんて、わたしも食べてみたいなぁ!

 マルックおじさんの家でのファームステイはステキでした。「なんにもしない」はずだったのに、思いっきり弾けちゃってるじゃないですか!はいりさんがキャーキャーはしゃいでいる姿が目に浮かびます。(#^.^#)

 フィンランドの人は無口で寡黙だという話が何度も出てくるのですが、それって自分の目で確かめてみたいですねぇ。以前、スウェーデンに10ヶ月ほど滞在したことがある友達が、同じようなことを言っていたことを想い出しました。

 ♯北欧の男って体格が良くてカッコイイのにさ、しゃべりがダメなんだよ。
 ♭「うまい口説き文句が言えないって事?
 ♯そういうレベルじゃなくて、どう口説いていいのか分からないって感じなんだよ。
 ♭へぇ、結構悲しいんだ!
 ♯だからさ、オレみたいなチビでも「積極的な所がステキ」なんてモテちゃうんだぜ!
 ♭彼女の方が大きいわけ?
 ♯そう、キスするときに背伸びするのはオレの方(笑)

 ムーミンのふるさと、そしてわたしが大好きなアキ・カウリスマキ監督の国、フィンランドにいつか行ってみたいなぁ!

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『小説は電車で読もう』 植草甚一

小説は電車で読もう
小説は電車で読もう
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植草 甚一
晶文社 (2005/06)

 植草甚一スクラップ・ブックシリーズのこの本は、1979年に出版されたものの復刻版です。いつもと違って、JJおじさんは日本の中間小説を読み倒しています。

 「オール読物」とか「小説新潮」といった雑誌を、小説1編ずつにバラバラにして読むのだというのですが、読み方が並みじゃないんですよ。小説の一覧表を作って、どんどん評価を付けていくんですが、1ヶ月の間に9誌も読んでしまうんです。もちろん、これ以外に洋書も読んでるし、雑誌もチェックしてるし、ホントに読書が好きなんだなぁ!

 それまでは「読まず嫌い」だったという池波正太郎の時代物を楽しんだり、田中小実昌の小説にニヤニヤしたり、この作家は五木寛之の影響を受けてるなぁなんて感想を言ってたり、当時はこんな人達が売れっ子だったのかなぁなんて想像しながら読み続けました。

 電車の中で小説を読んでいて、降りる駅になってもまだ読み終わらないと、そこで途切れるのが嫌なので、ホームのベンチに座って本を読み続けるなんてあたりは、「わたしも、やってる!」って嬉しくなっちゃいました。

 映画やジャズの話ももちろん出てきます。「ヒッチコックの今度の映画はいいねぇ」とか「デューク・エリントンはドンドン若返っている」なんて、セリフにJJおじさんらしさを感じます。

 そして大好きなコーヒーについての話も。京都のイノダのコーヒーは素晴らしいって絶賛しています。ここは高田渡さんの曲で有名になったのですが、わたしも一度行かねばと今年の初め頃から思っていたお店です。そうか、JJおじさんもご推薦とあらば、行かねばならぬ!

 それにしても、JJおじさんの好奇心っていうのは底なしですね。何か面白いテーマを見つけると、ドンドン突っ込んで行っちゃう。こういうタイプの本を読むぞ!と決めたら、これでもかって言うくらい読み進むし。ジャズが好きになれば、トコトン聴き込んじゃう。

 高校生の頃にJJおじさんに出会ったわたしは、勝手に心の師匠と決めてしまいました。JJおじさんのマネをしてジャズを聴き、当時銀座にあったイエナ書店へ洋書を眺めに行きました。あの頃のわたしの夢は、JJおじさんのような生活をすることだったなぁ!

 「想い出した夢は実現する」って誰かが言ってたけど、わたしが想い出した夢は実現するのでしょうか?

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