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『グロテスク』 桐野夏生

グロテスク
グロテスク
posted with amazlet at 04.09.23
桐野 夏生
文藝春秋

 余りにも美しい妹ユリコ、彼女を否定することだけで生きている姉、姉の同級生で努力すれば何でも手に入れられると信じている和恵、勉強もスポーツも得意なミツル、ユリコのマネージャーになるタカシ、中国から密入国してきたチャン。みんなユリコに振り回され、人生を踏み外していくのです。

 みんな心の中に「憎悪」を持っています。なぜそんなに嫌うのでしょうか?そんなに嫌わなくたっていいじゃないと他人は思うけど、当事者にとってはどうにも止められない感情ですよね。これって実は「好き」や「憧れ」の裏返しなんじゃないかなぁ?

 第三者は冷静に分析するけれど、本人だけはそれを認めない。いや、認めたくない。憎悪が生きていく力だと信じているのでしょうか?

 憎悪は最終的には相手ではなく自分を苦しめてしまうものなんですよね。相手に対して振りまいているつもりの悪意に、自分がどっぷり浸かってしまっていて、気が付いたら身動きができなくなってしまう。冷静に考えればバカバカしいことなんだけれど、そんな自分に気が付くのはとても難しいことなんですね。

 「わたしは嫌いな人に会ったことがない」って淀川長治さんは言ってたけど、あれにはコツがあったんですって。淀川さんって、嫌いな人のことは100m位離れたところでも分かったので、相手が近づく前に右か左によけちっゃてたんですって!そりゃウマイ方法ですよね。「苦難に立ち向かわないと」って思うより、「嫌なことは止めとこう」っていう勇気も大事なんだなって思えてくるんです。

 この小説に出てくる人たちって、みんな生き方が不器用なのかな?どうして自分で自分の首を絞めてしまうんだろう?どうして化け物になっていってしまうのか?どうしてそういう人生を選んでしまったのか?

 最初は本の厚み(536ページ)に圧倒されたけど、読み始めたら止まらなくなりました。もしかしたら、わたしだってこんな世界に足を踏み入れてしまうかもしれないっていう気持ちが、一気読みをさせたのかもしれません。

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日本の作家 か行」カテゴリの記事

コメント

一時、こちらのブログの方に繋がらなくなってしまったので、心配してしまいました。
まだ全然読んでないのにー(泣)、と。
ところで、「グロテスク」の記事にトラックバックを送ったつもりでしたのに、どうも反映されていないようです。
また後程、チャレンジさせて頂きますね。
桐野さんって、ほんと凄い作家ですよね。

トラバ反映されていたようです。
良かった!
お騒がせしました ^_^;。

tsuna11さん☆コメント&TBありがとうございます。
こちらのブログシステムがしばらく調子が悪くてご心配おかけしました。
m(_ _)m

グロテスクっていう題名どおりの内容で、人間ってエスカレートすると恐いなぁってしみじみ思いました。

ざれこさん☆TBありがとうございます。
桐野さんが描く性悪女たちは、みんな不思議なパワーがありますよね。
どうしてそこまでやっちゃうんだろう?って思うんだけど、きっとわたしもその状態になったら同じ事をしちゃうだろうなぁと思うんです。
そして「そこまでさせるか!」という桐野さんの文章に、とても惹きつけられてしまうのです。

お勧めいただいた『柔らかな頬』では桐野夏生さんの凄さが今一理解出来ませんでしたが、これを読んで圧倒されました。今、日本一の女性作家は桐野夏生さんだと思います。桐野夏生さんは全部読みます。

goldiusさん☆こんばんは
桐野さんを気に入って頂いたようで嬉しいです!
彼女の負のパワーは凄いですから、しっかりと堪能してくださいね。

Rokoさん、こんにちは^^
これ、今更なのですが読みました。
Rokoさんは、もう5年も前に読まれて感想書かれているので、詳細は忘れてしまわれちゃったかな・・・と思いますが・・・。

高校時代の話は、すっごかったですが、非常に面白かったです(^^ゞ
後半がガタガタ・・って感じで、ちょっと残念でした。

latifaさん☆こんばんは
こういうのを書かせたら桐野さんを超える人はいませんねぇ(^^)v
一応フィクションですが、ほとんどが事実を基にしているので、いろんな場面がリアルですよねぇ!
最後がグシャグシャになっていくところも桐野さんらしいですが (^_^;)
これだけの量を一気読みしてしまう面白さって、やっぱり凄いですよ!

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