『真っ赤なウソ』 養老孟司
養老先生の本を読んでいていつも感じるのは「怒り」の気持ちです。TVなどで見る先生の顔はあんなにおだやかなのに、自分の周りのとんでもないことにいつも怒ってる先生って、スゴイ人なんだなと思うんです。
たとえば東大で「倫理マニュアル」を作るといわれれば、すぐに哲学の教授に電話をして「『倫理』と『マニュアル』はつなげていい言葉か」と聞いています。個人的なものである「倫理」と集団の規則である「マニュアル」を、つなげてしまっても平気でいる大学に腹を立ててるわけです。
先生はいつも疑問を持って生きているんですね。解剖をしながら、この器官はどうしてこういう形をしてるんだろう?とか、この血管は他より細いなぁなんて考えてるんですよね、きっと。そうやって、いつも考え続けていると、いろんな真実が見えてくるんでしょうね。
現代ってのはとても便利な時代です。一昔前なら夜中にお腹が空いても、開いているスーパーなんてなかったし、いつでもお金をおろせるATMなんてものもなかったから、今よりは頭を使っていたと思うんです。「仕事が終わってからじゃ銀行が閉まっちゃうから、昼休みにお金をおろしておこう」なんてことあったじゃないですか。そういう判断力を使う機会が減っているってのは、いざ何かがあったときに、もの凄く怖いと思うんです。
体を使わないでいると体がなまってしまうのと同じで、頭だって使わなくっちゃ。それこそ「バカの壁」の世界になってしまうもの。
世の中のいろんな事を、よーく考えて見ようよ!いいこと、悪いこと、いろいろあるじゃない。そして、世の中の「真っ赤なウソ」に気付かないと、ヒドイ目に遭うのは自分だよ。
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