『獄中記 煉獄篇』 ジェフリー・アーチャー
ベルマーシュ刑務所(地獄篇)での22日間の後、ウェイランド刑務所での66日間の記録です。
ウェイランドへ来てみれば、ベルマーシュは結構良い所だったことが分かるというところから日記は始まります。周りを見渡せば犯罪者ばかり。刑務所なんだから当たり前なのだけど、窃盗・詐欺・脱税・殺人・暴行、どんな人間がいるのか分かってくるまでは心が安まらないんです。でも、慣れてみれば根っからの悪人というのはそんなにいないということが分かってきます。
刑務所の中なのに酒を造って売る人がいたり、麻薬を売買している人もいるし、本当にここは塀の中なの?ってことがたくさんあります。刑務所の中だからといって、いつも囚人服を着ているわけでもないし、ある程度レベルが上がってくれば塀の外での仕事を与えられることもあるし、イギリスの刑務所は比較的オープンだということが分かります。
刑務所の中では、学習にかなり力を入れていて、読み書きできない人に読み書きを教えたり、美術や職業訓練を受けたり、体を鍛えるジムだってあるんです。ある意味では「快適な空間」と感じる人もいるようで、せっかく出たのに、またすぐに戻ってきてしまう人もいるんですって。
アーチャー氏は地獄篇でも煉獄篇でも、食事がマズイと毎日書いてますけど、本当にそんなにスゴイものなんでしょうか?料理を作るのも囚人(日本だとこういうことはないだろう)なので、確かにヒドイ料理を食べさせられる可能性は高いとは思うけれど。メニューは毎食5パターンあって、肉中心のモノ、ベジタリアン用などに別れてます。イギリスの刑務所には様々な国から来た囚人がいるので、宗教上の配慮などもあって選択肢が多いのだと思うのだけど、日本の場合はどうなんでしょう?
アーチャー氏は毎日文章を書き続けて、それを定期的に自分の秘書に送り、タイプしてもらったモノが出版社へ送られています。そのゲラ刷りは逆のルートでアーチャー氏に届きます。日本では塀の中で書いた文章は絶対に外へ出せないと聞いたことがあります。アーチャー氏は、まだ塀の中にいる状態で、塀の中のことを日記に書いてそれを出版できてしまうのだから、こういうところもイギリスはかなりオープンなのだと思います。
66日間ブツブツ言うかわりに日記を書き続けたアーチャー氏は、また次の刑務所へと移送されていくのでした。
« 浅草へいってきました | トップページ | 『人生は成功するようにできている』 中谷彰宏 »
「伝記・日記・ノンフィクション」カテゴリの記事
- 『鹿鳴館の貴婦人 大山捨松』 久野明子 26-123-3882(2026.05.03)
- 『翠雨の人』 伊与原新 26-121-3880(2026.05.01)
- 『戦争とバスタオル』 安田浩一、金井真紀 26-100-3859(2026.04.10)
- 『ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還』 斎藤文彦 26-90-3849(2026.03.31)
- 『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』藏本龍介 26-87-3846(2026.03.28)
「英米」カテゴリの記事
- 『スカートと女性の歴史』 キンバリー・クリスマン=キャンベル 26-85-3844(2026.03.26)
- 『哀しいカフェのバラード』 カーソン・マッカラーズ 26-69-3828(2026.03.11)
- 『レンブラントの帽子』 バーナード・マラマッド 26-55-3814(2026.02.25)
- 『決定版 2001年宇宙の旅』 アーサー・C. クラーク 26-57-3816(2026.02.27)




コメント