『反社会学講座』 パオロ・マッツァリーノ
フランスではマクドナルドにいる労働者も、スーパーのレジ打ちも、すべて正社員なのである。・・・たとえ1日の契約であっても社会保障、労働保険加入は必須であり、社会保険に入らない雇用など考えられない。(本文より抜粋)
これが常識だーなんて思っていたことが、実はそうじゃなかったって気が付いたとき、腹が立ってくることもあるし、逆に笑いたくなっちゃうこともあるよね。この本は、そういうことの集大成なんです。
少子化になっていくと、こんな事が困るとか、フリーターばっかりじゃ税金を取れないじゃないかとか、年金を払わない人が多くて困るとかって、良くニュースになってますよね。そういう時って、必ず子供を生まないのが悪いとか、正社員として働こうとしない若者が悪いとか言われがちじゃないですか。でも著者は、当事者が悪いと決めつけてしまう社会の方が悪いのさ、と証拠をどんどん上げていくんです。
たとえば、フリーターという立場というのは、そうなりたい人がいるから存在するのではなく、安い労働力が欲しい企業側が作っているものなのだから、フリーター自体が悪いわけじゃないんです。彼らが保険や年金を払わなくなる原因は、そういうものを払うように強制しない役所が悪いというのです。フランスのように、1日の労働であっても必ず保険に加入するシステムであれば、取りっぱぐれはないんですものね。
社会保険というのは会社負担もあるわけで、そういう部分をカットしたいという企業側の思惑を許してしまう、日本のシステムってなんなんだろう?って思ってしまいます。
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