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『上司は思いつきでものを言う』 橋本治

 背泳の鈴木大地は、かつてソウルオリンピックですごい記録を出しました。出したのにすぐパッとしなくなりました。どうしたんだろうと思ったら、国際水泳が背泳のルールを変えちゃったんだそうです。(中略)
 どうして日本人が凄いことをすると、「そうはさせじ」とばかりに「国際」の方は、その根本ルールを変えてしまうんでしょう?まるで、思いつきでものをいう最悪の上司みたいなものです。
 基本のルールを変えられて日本がダメになってしまうのは、日本が他とは違うことをしているからです。だから「それが出来ないようにしてやろう」という発想があっちに生まれて、日本はダメになるのです。他と違うことをしていなくて、それで強かったら、ちょっとルールをいじられただけで「情けない結果」になるはずはありません。(本文より抜粋)

 上司にとって部下とは、自分より格下の世界に住む人なんだそうです。だから、そこから出てくるアイデアなんてものは「所詮大したものじゃない」という前提条件が出来上がります。それに対して一々真面目に開いてなんかしていられないから、あっさり「却下」するか、まるで関係の無いようなことを上司は言うのです。「君、ペーパーレスなんぞ当社ではできんな。それより名刺の配り方が足らんのじゃないかな?」なんてね。

 上司だろうが、国際なんとかの委員さんだろうが、自分がエライと思っている人達って、どうも「新しいこと」が嫌いなようですね。自分が考えつかなかったことに腹が立つのか?それとも、その「新しいこと」を理解できないのか?いずれにせよ抵抗しようとするわけです。そして「思いつき」で何だか分からないことを言うんですね。

 そこの所を理解しろと橋本さんは言っているんです。たとえ正論であっても、上司が理解できないことは却下され、訳の分からないことにすり替えられてしまうってね。

 そんな上司に腹を立てているうちはいいけれど、いつのまにやら自分も同じになってたりしたらイヤだなぁ。

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コメント

こんにちは。
おかげさまで、橋本さんの言いたいことの一部がようやく理解できました(笑)。
同じ本を違う目で読んだ感想というのは、本当に参考になってありがたいです。
>いつのまにやら自分も同じになってたりしたらイヤだなぁ。
こういう気持ちって大事ですよね。常に自分の「足らざる」を知る目を持ち続けるという気持ちが、自分の成長につながるんだと思います。

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