『東京アウトサイダーズ』 ロバート・ホワイティング
角川書店
地縁、血縁、学閥、なんでもよい。知人の知人のそのまた知人の紹介だけでも相手を信用する。疑うことを失礼だとさえ思うのが日本文化なのである。基本的に疑いの精神を持っている欧米人とは、この点が根本的に違うのである。(本文より抜粋)
日本にやって来た「不良外人」やら「悪徳外人」がこんなにもたくさんいたとは!戦後の混乱期も、行動成長期も、バブルも、こういう人達にとっては「稼ぎ時」だったんですねぇ。わたしが知ってるような外国人労働者は、ほとんどが「出稼ぎ」のレベルだけれど、この本に登場する人達はみんな「経営者」ですからね。稼ぎの規模がとてつもなく大きい!
数年前にニュースになったブラックマンさんの事件の顛末は、とても興味深いものです。父親が日本にやってきて、警察に娘を捜してくれと頼んでも、ホステスをしていたような人間を本気で捜してはくれなかったのだそうです。仕方がないので英国大使館に泣きつき、ちょうど来日していた英国首相に直訴したら、警察は手のひらを返したように細かく調べるようになり、結局死体とはなっていたが本人を見つけ、犯人まで見つけられたんです。
日本の警察ってそういうところなんですね。日本人の犯罪だけでも大変なのに、外人のことまで手が回らないよってスタンスなんですね。でも上の方から命令が出れば、あっさり働いちゃう。逆に言えば、上から「見ない振りをしておけ」という命令が出れば、見なかったことにしてしまうんでしょうね、どんなことでも。
この本の最後に「日本に来た外国人の中には、いい人だっていたんだよ」という章があるんですけど、こういう人達のこともわたし達はほとんど知らされずにいるんですね。わたし達が目や耳にするニュースというのは、とても画一的なものばかりであるという気がしてきました。
わたしが住む町にも、いろんな国から出稼ぎに来ている人達がけっこういるし、定住している人だっているわけで、以前よりもこういう人達の人数は確実に増えているんです。ということは、裏で糸を引いている人だって増えているってことなんですよね。裏の世界というのは、いつの世でも存在するものなんだけど、それが拡大することによってどう変化するかってことは予測がつかないことだなぁと、改めて考えてしまいました。
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