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『白蛇教異端審問』 桐野夏生

白蛇教異端審問
白蛇教異端審問
posted with amazlet on 05.03.31
桐野 夏生
文藝春秋

 桐野さん初のエッセイ集です。ご本人はエッセイは不得意とおっしゃってますけど、いやいやそんなことはありません。パワー全開の文章を読むことができます。

 この本の最後に納められている「白蛇教異端審問」は、桐野さんの作品「柔らかな頬」や「顔に降りかかる雨」などに対する心ない批判や、書評に断固として戦う姿勢を貫いた文章です。批判的な批評を書いた相手の実名を出して徹底抗戦しています。

 女性が探偵になることを「雇用機会均等法的」に捉えるのは間違いだ。そう捉えてしまったなら、女性探偵の作る物語は近代の枠組みから抜け出すことができないではないか。私はそんな退屈なものを目指したのではない。(本文より抜粋)

 女性がハードボイルドを描けるわけがないなど、何かというと「女だから」という相手に対して、「放っておけばいいじゃない」と言われても、そうはできない桐野さんは実にハードボイルドな人だと思うんです。

 村野ミロをはじめ、彼女が描く主人公の女性達はみな、何か重いものを引きずっていて、でもどこか醒めていて、男なんかアテにしたってしょうがないのよって雰囲気が漂っているんですよね。

 男にうまく媚びることができれば、楽に生きられるって事はわかっていても、そういう選択はしない、それが桐野流のハードボイルドだと思うんですけど、こういうのって、分からない人には分からないんだろうなぁ。

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コメント

男に媚びようにも、その能力が初手からナッシングっつう人間はいったい・・・等と言ってみたりして。おほほ。

kazooさま☆コメントありがとうございまする。
そうなのでございます。
媚びる事ができるのも才能、それが無い女は男以上に媚びがウマイ女を嫌うのです。
逆に、女に媚びられたことのない男は、媚びない女に腹を立てる。
無い物ねだりな世の中でござんす。

ココさん☆TBありがとうございます。
桐野さんの普段とは違う一面が見えるこの本は、好き嫌いがはっきりするかもしれません。
とはいえ、桐野さんの素顔が見えるようで興味深い本だと思うのです。

アメブロの方も美味しそうですね。二つのブログを運営されてるなんて凄いです!
ところで桐野さん、エッセイを出されておられるのですね。
知らなかったです。
「ダーク」を読んでここまで書かなくてもと、ちょっとしょぼんとなったのですが、うん、桐野さんはハードボイルドですね。
これからどこに突き進んでいかれるのでしょうか。

tsuna11さん☆コメントありがとうございます。
桐野さんって、とことん突き詰める方なんでしょうね。
だからこそ誤解されたり、悪口を言われたりして、この本ではその辺のことを思いっきり本音で書いてらっしゃる。
そんなハードボイルドな生き方もいいなぁって、ちょっと憧れています。

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