『伊丹十三の本』 考える人編集部編
「あっ、伊丹さんだ!」そう思った瞬間、この本を手に取っていた。
わたしの「ココロの師匠」伊丹さんは、今どきの人には映画監督だとしか認識されていないらしい。確かに素晴らしい監督であることに間違いはないけれど、それだけじゃないんだよってことを分かってもらいたいなぁ。
わたしが高校生だったころ、「女たちよ」を読んでもの凄いショックを受けた。「スパゲティの茹で方は、アルデンテでなければならない」とか、「アーティーチョークの食べ方」とか、学校でも家でも教えてくれないことが、そこには数限りなく書かれていたのだ。
コマーシャルにもたくさん出ていて、必ず伊丹さん自身のナレーションが入っていて「トウチャン、よろこぶ」とか、「アジの干物でジョニーウォーカーを飲む」とか、いつもアット驚くようなアイデアに溢れていたなぁ。
20年以上前のものなのに、写真を見ただけで記憶が蘇るくらいだから、いかにインパクトがあったかってことなんだなぁ。
「女たちよ!」「再び女たちよ!」「小説より奇なり」「日本世間噺大系」「ヨーロッパ退屈日記」どの本ももの凄く面白かった。岸田秀との共著「保育器の中の大人」で、心理学というものに目覚めた。
伊丹さんの本はわたしに多くの世界を見せてくれた。世の中にはこんなに面白いものがたくさんあるんだよって教えてくれた。そしてドキドキ、ワクワクした。その後のわたしの嗜好に大きな影響を与えてもらったのは間違いない。
今日、この本に出会ったのは単なる偶然ではなくて、必然なのかもしれないと思う。本棚で埃をかぶっていた伊丹さんの本を、もう一度読んでみよう!という気持ちが湧いてきた。
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私にとって伊丹さんは大人の男です。
彼以外の人を大人だなぁ、って思ったことがない・・といっても過言ではないくらいです。
う〜〜〜む、今彼以上に大人な人はいるのでしょうか?
投稿: ゆみりんこ | 2005年4月28日 (木) 23:30
ゆみりんこさん☆コメントありがとう。
伊丹さんはヤッパリわたしの師匠であり、ヒーローです!
最初は映画俳優だと思ってたら、デザイナーの方が先だったんですねぇ。
余りにも多芸で凄すぎます。
「女たちよ!」のルイヴィトンのつま皮の衝撃を越すものは、これからもないだろうなぁって思ってます。
投稿: Roko | 2005年4月29日 (金) 00:16