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『明日の記憶』 荻原浩

明日の記憶 (光文社文庫)

 歳を取るとともに、だんだん物の名前が思い出せなくなってきた。「あれだよ、あれ」「あの子、なんて名前だったっけ」なんてことがよくある。でも、それは急に思い出せないだけで、今のところは何とか思い出せている。

 この本の主人公も、最初はただの物忘れ、健忘症ぐらいに思っていた。でも、それだけではない症状、めまいや不眠に気が付き、しぶしぶ病院へ行って検査を受けた。そして想像もしていなかった病名を聞いたのだった。その名は「若年性アルツハイマー症」。

 新しいことを覚えられないというのは、もちろん辛いことだが、それでもとりあえず生活はできる。でも、この病気の場合は進行すると、普通の生活もままならない。

 自分がいつも歩いている道なのに、そこがどこなのか分からなくなり、家族の名前も分からなくなり、食事したかどうかさえ忘れてしまう。

 本を読み終わってまず考えたのが、「もし自分がそうなったらどうしよう」ってこと。でも冷静に考えてみると、実際にそうなってしまったら、なるようにしかならないってことになるんだろうなぁ。

 主人公が日記を書いているのだが、その文章がだんだんと変わっていくところを読み進むうちに「アルジャノンに花束を」を思い出してしまった。

 記憶がなくなるということは、自分という存在がなくなるということなのか?でも自分は生き続ける。自分が思い出せないということよりも、誰かと記憶を共有できないということが一番辛いのかなぁということを感じさせるラストシーンだった。

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日本の作家 は行」カテゴリの記事

コメント

Rokoさん、おはようございます。
GWいかがお過ごしでしょうか?

荻原さん読まれたのですね。
いつものユーモア小説を封印して新境地を開拓した問題作だと思います。

身近にアルツハイマー病の方がいらっしゃる読者が読まれたら本当にリアルに感じられることでしょう。

山本周五郎賞の候補にもノミネートされました。
出版社が光文社なので本命とは言いがたいと思いますが、作品自体は受賞されても何の異存もないと思っております。

おはようございます。TBありがとうございます。
内容的には重い話でした。でも、いろいろなことを考えさせられます。
自分がもしそうなったら?ということはやはり考えました。
冷静にそれを受けとめられる自信は持てないかも・・・。

トラキチさん☆コメント&TBありがとうございます。

萩原さんの作品を読むのは初めてなんですけど、こういう病気って、いつなるのか分からない怖さがあって、けっこうヘビーなストーリーでした。
病気になった本人より、周りの人の方が大変なんだろうなぁなんて、考えてしまいました。

ゆこりんさん☆コメントありがとうございます。

重いけど、そういう可能性もあるんだなって覚悟は必要なのかなと思いました。
特効薬もだけど、原因が何なのか?を究明して欲しいなぁって思います。

Rokoさん、ありがとうございました。
この本は私は他の人にも薦めています。面白かった、って喜ばれました。もちろん、シリアスにならない年齢の人に、でしたが・・・

治療法がないなら、対処方法として主人公がとった行動はベストに近いものだったのでしょう。
残される人たちに哀しい思いをさせてしまうのは避けられないのが辛いところですね・・・

濫読ひでさん☆コメントありがとうございます。

ヘビーだけど、真剣に考えなければいけないテーマでした。
主人公と同年代の自分にとって、とても同感できる点と、どうしてそんなに肩肘張ってしまうんだろうと思う点がないまぜ状態でした。

あさこさん☆TBありがとうございます。

若い方には実感が湧かないのってしょうがないですよね。
物忘れがだんだん激しくなってきたわたしにはかなり身近な問題に感じられました。

みわさん☆TBありがとうございます。

ほんと、わたしにとってはマジメに怖い本でした。

私も『アルジャーノンに花束を』を思い出しました。どちらも変わっていく自分を主人公自身が実感しながら、でも止められないという・・・・・泣けちゃいます。

bamsaさん☆コメント&TBありがとうございます。

どんな病気でも、進行していくのが自分で分かるって辛いことですよね。
健康であることのありがたさってものを改めて感じてしまいます。

「明日の記憶」にも寄って頂きありがとうございます。

読んでて怖くて目を文字からそらしながら読んでました。

kanzumeさん☆コメント&TBありがとうございます。

こういう現実的な怖さってなかなかないですよね。
「明日はわが身かも?」と思いながら読んでしまいました。

明日の記憶映画化されるみたいですね。あの恐怖がどう表現されるのかすごく楽しみ。

kanzumeさん☆コメント&TBありがとうございます。

渡辺謙さんが主演ですか。
どんな演技を見せてくれるんでしょうか?
やっぱり「愛」を語る映画になるんでしょうか?
わたしとしては、ホラー寄りに作ってもらえると嬉しいんですけど。(^^ゞ

Rokoさん、こんばんは♪
今日は宣伝でお伺いしました。
TBさせていただいたのですが、新ブログの立ち上げです。

伊坂さん、たくさん読まれてますね。
またお暇な時にお立ち寄りくださいませ。

TBありがとうございました。
こちらからも、TBさせていただきました!
考えさせられる本でしたよね。
明日はわが身・・・・そんな風に思った人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか・・私を含めて。

最後の二行は、今でも忘れられません。

ゆうさん☆コメント&TBありがとうございます。
わたしも、おもいっきり「明日は我が身」だなぁっておもっちゃいました。
最近読んだ「きみに読む物語」もそんな感じの本で、そうなったらどうしようって、どうにもならないのに考えちゃいます。

Rokoさん、おはようございます。
会う前に自分の娘の写真をしっかりと見つめるのがたまりませんでした。
ゆっくりと自分が自分でなくなっていくのって辛いですね。

ななさん☆コメント&TBありがとうございます。

まるで自分のことを言われてるみたいで、ホント、この本怖かったですよ。
自分って、記憶によって出来上がっているんだって事を再確認してしまいました。

Rokoさん、こんばんわ!
私も「アルジャーノンに花束を」を思い出しました。
自分が変わっていくのがわかるというのがなんとも切ないです。わからなくなってしまったほうが、本人は幸せかなとも思うのですが、まわりの人は辛いですよね・・。

juneさん☆コメント&トラバありがとうございます
記憶が無くなるって事は、自分が無くなるって事だったんですね。
自分がそうなるのも、家族がそうなるのも、どちらも辛いなぁ!

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