『真夜中の五分前 Side-B』 本多孝好
sideA ではあんなに元気だったかすみさんが、スペインで旅行中に死んでしまったというところからこのストーリーが始まります。残された双子の姉妹のゆかりさんがどうもおかしいと、ご主人の尾崎さんが「僕」に相談を持ちかけてきます。
彼女がゆかりさんなのか、かすみさんなのか、どうもよく分からないのです。本人もよく分からないらしいし、「僕」にも判断がつきません。
自分が誰なのかというのは、実はまわりが決めているのかもしれないと思うことがあります。まわりが決めたイメージに合わせて自分を作ってしまう事ってないかな?そして、ふとした瞬間にアレっ?って気が付いてしまったら、どうなるんでしょう?
自分のことは自分が一番知ってるって思いがちだけど、実は一番分かっていないのが自分なんじゃないか?って思います。自分が認識している自分、他の人が認識している自分、それは決して同じではありません。
自分の偶像を作ろうと意識して生きることもあるだろうし、無意識のうちに違う自分を生きてしまうこともあるだろうし。どちらにしても、それは違うと意識した時、どういう決断を迫られるのでしょうか?
「わたし」は「ゆかり」さんなのか、「かすみ」さんなのか分からなくなってしまった彼女は「僕」に「どちらかに決めて」と言います。確かに自分を見失ってしまったら、そういう気持ちにもなるかもしれないなぁ。
とはいえ、普通の人生では誰かにそんなことを決めてもらうことなんてできません。自分で決めないとどうにもならないのです。そのうちなんて言っていたら、永遠に決めないままなんて事になるのでしょうね。
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ココさん☆TBありがとうございます。
1人の人間の存在が、こんなにも他の人達に深く関わっているってことに気が付かせてくれる本ですよね。
投稿: Roko | 2005年6月19日 (日) 11:36
みかんさん☆TBありがとうございます。
本多さんの他の作品も読みたくなりました。
投稿: Roko | 2005年6月20日 (月) 22:02
さとたけさん☆TBありがとうございます。
わたしは本多作品が初めてなので、「不思議だなぁ」という気持ちを持ち続けたまま読み終えてしまいました。
別の本も読みたいと思うので、さとたけさんオススメの「MOMENT」や「MISSING」を読んでみようかと思います。
投稿: Roko | 2005年6月20日 (月) 22:04