『沙高楼綺譚 草原からの使者』 浅田次郎
「それではみなさま、改めまして沙高楼にようこそ。今宵もみなさがご自分の名誉のために、また、ひとつしかないお命のために、あるいは世界の平和と秩序のために決して口になさることのできなかった貴重なご経験を、心ゆくまでお話し下さいまし。語られる方は誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです。」(本文より抜粋)
沙高楼の女装の主人のこの挨拶から物語は始まります。主人に紹介された4人の男によって驚くべき話が語られます。それぞれの話が、「宰相の器」「終身名誉会員」「草原からの使者」「星条旗よ永遠なれ」の4つのストーリーになっています。
4人の男達が語る話は浅田さんお得意のテーマばかり。特にカジノを描いた「終身名誉会員」と、競馬を描いた「草原からの使者」はすばらしい!です。
闇語りのシリーズのように、この「沙高楼」もシリーズになっていくのでしょうか?もしそうなるなら、次回は軍関係者や博徒の登場ということになりそうですね。不動産業者とか、お菓子の職人あたりも面白そうなのだけど、また意表を突いた人物が出てくるのでしょうね。
浅田さんの小説を読んでいていつも感心するのは、その語り口の上手さなんです。ことばはその人の生まれ育ちや性格を如実に表しますよね。上品な語り口の詐欺師、命令しかできない軍人、乱暴なようであっても本音のみでモノを言う職人、そういう表現がうまいなぁって思うんです。
今回は真面目モードの浅田さんですが、おばかモードもまた読みたくなってきました。久し振りに「勇気凛々・・」を読もうかな!
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