『建築探偵 東奔西走』 藤森照信、増田彰久
スズリの色が黒いということは日本の人なら誰でも知っている。
西洋館の屋根に葺く天然スレートが黒いことも西洋人なら誰でも知っている。
しかし、この2つの黒い物体が全く同じだということは、日本の人も西洋の人も知らない。(本文より抜粋)
藤森さんは、建築物が大好きです。東に変わったビルがあるといえば飛んでいき、西に古い刑務所があるといえば、これまた飛んでいき、その建築物の由来やら特徴やらを克明に記録しています。そして、それらのすばらしい建築物が取り壊されると聞けば、それを保存するためにまたまた走り回っているんです。
そうした建物のいくつかは、江戸東京博物館の分館である 江戸東京たてもの園 (小金井市)に移築されています。こういう方がいるからこそ、大事な文化財が守られているんです。そうそう、「看板建築」という名称を作ったのは藤森さんなんですって。
ところで、洋館の屋根材として使われているスレートは、昔は学生のノートとして使われていた「石盤」とも同じものなんですって。日本では余りおなじみがないかもしれないけど、確か「赤毛のアン」とか「長靴下のピッピ」などに登場していたものですよね。
ケンカで石盤を割っちゃって怒られるっていう話も、いくつか読んだ覚えがあるなぁ。ちなみに、石盤にはチョークで字を書きます。アフリカなどでは今でも実際に使われているんだそうですよ。
普段気にしていない建物も、藤森さんのように「探偵」する気持ちで眺めているといろんな発見があるのでしょうね。古い建物って、今時の建物と違ってけっこう遊びの要素が多くて楽しいんですよね。わたしも探偵修行しようかな?
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看板建築。もともとこの言葉は、路上観察学会員の藤森照信氏が1975年に言い出したものだそうで、1994年に出した本で広まった。というわけで、厳密な定義を持つ術語ではない(少なくとも、今のところは)。
だいたいの概要は、「関東大震災以降に様式を確立した商店建. [続きを読む]
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