『旅行記でめぐる世界』 前川健一
60代の人に「誰と一緒に海外旅行をしたいか」という質問をすると、「夫婦で」と答えたのは、男性の51%に対して、女性は35%であり、「友人と」と答えたのは、男性が10%で、女性は32%と、男女で違いがある。この数字を考えてみると、夫は海外旅行中でも妻に世話をしてもらいたいようだが、妻の方は「そんなの御免よ」と友人と旅に出るという夫婦関係が浮かぶ。(本文より抜粋)
わたしが子供だった頃、海外旅行なんて夢のまた夢でした。TVで「兼高かおる世界の旅」を見るたびに、外国っていいなぁ、飛行機っていいなぁなんて憧ればかりが膨らんでいました。そうそう、あのころは1ドルが360円でしたね。
アップダウンクイズで10問正解すると賞品は「夢のハワイ旅行」でした。ブルーハワイが流れる中、10問回答した人の席にタラップが付けられて、首にレイをかけてもらうんです。そういう手段でもなければ、飛行機で海外旅行なんて考えられない時代でした。(そのまた前の時代は、憧れのハワイ航路だったらしいけど)
そんな時代の旅行記は、自分にはそんな体験はできないであろうという前提で読んでましたから、その内容はノンフィクションでありながら、読者にとってはSFであり、ファンタジーだったんですよね。
それがいつもまにか、「頑張って貯金すれば行ける」時代になり、一部例外はありますが「誰でも行ける」「どこでも行ける」という時代になりました。お盆やお正月にハワイに行くなんて、今や普通の旅行です。高級温泉旅館へ行くより、韓国や台湾へ格安ツアーへ行く方が安かったりすることもある位ですよね。
この本の最後の章を読むと、沢木耕太郎の「深夜特急」を読んで、外国へ飛び出した人達ってかなりいたってことが書かれています。そうか、そうなんだろうなぁなんて思いつつ、今もこういう旅をする人達って沢山いるのかなぁなんて気になったりもします。
海外旅行へ行くって、非日常を求めに行くものだと思うんだけど。どうもそうじゃない人が多いようですね。たかが1週間の旅行なのに、そんなに大きなトランクに何を詰め込んでるの?って人、多いですよね。「旅は身軽に限る」って考えるのは日本じゃ非常識なの?
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