『物のかたちのバラッド』 片岡義男
この本は8つの短篇で構成されていて、それぞれ別のストーリーなのだが、共通した部分がある。それは主人公の男性が才能あるイラストレーターであるということ。美しい女性に出合い、その姿をスケッチブックに書くというシーンが何度も出てくる。
最初のストーリーで、会社に勤めて3ヶ月目の男性が会社を辞めようと決断するところで、昔読んだ「7月1日円満退社」を思い出してしまった。仕事ができないワケじゃないけれど、自分は会社員に向いてないなぁという雰囲気が、片岡さん自身の若い頃の感じが投影されているのかなぁと思わせる。
ストーリーによって時代は前後するけれど、都電が走っている光景が多く出てくる。東京オリンピックがあって、高速道路や幹線道路を作るための工事があちこちで行われ、トロリーバスが消え、東海道新幹線が開通したあのころ。今ほどものはないけど、漠然とした夢が広がっていたあの頃。
6番目のストーリーに「ヨシオ」のことが何回か話題に上がる。「リーゼントなんかしてると女にもてないわよ」なんて言われているところを読んで思わずニヤニヤしてしまう。片岡さん、本当にそう言われたことがあるんじゃないかな?
片岡さんの小説って夏が似合うんだけど、不思議と湿度を感じない。カラッとした風が吹き抜けて、スカートの裾を揺らすような、長い髪が風にそよぐような、そんなさわやかさを残していく。
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なんだか久しぶりに片岡さんの短編集を本屋で見たと思ったら、もうすでにRokoさんは読んでしまったのですね。
片岡さんの小説に出てくる女の人ってひとりで自己完結している感じの人が多いように思います。
20代のころの私はそれがとてもうらやましかった、という気持をおもいだしました。
投稿: ゆみりんこ | 2005年7月22日 (金) 00:07
ゆみりんこさん☆そうなんです。
片岡さんが描く女性って、きりっとしていて格好いいんですよね。
知性的で、それでいて女らしさも失わない、わたしにとっても憧れの女性像です。
そして、片岡さんの格好良さも相変わらずですよね。
投稿: Roko | 2005年7月22日 (金) 00:29