『生首に聞いてみろ』 法月綸太郎
2005年度「第5回本格ミステリ大賞」を受賞したこの作品を読んだ方はかなりいるようですね。この賞を受賞したくらいですから、本格的ミステリとして賞賛する方が多いですね。遅ればせながら読んでみたのですが、ウーン、手放しでは誉めるわけにはいかないなぁ。
この小説の中で大きな位置を占める石膏像の首が、何者かに切られるというところから事件が始まる。包帯石膏で人間の型を取り、そこから石膏の人体像を作るという手法で有名になった作家が、再度作成した石膏像が最初の被害者(?)になる。そして次の被害者はその石膏像のモデルとなった作者の娘だった。
この事件を調査する探偵役が法月さんなんだけど、いろんなところで繊細さに欠けるのが気になりました。容疑者の顔写真をチェックしていなかったり、留守電を無視していたり、これが初めてってワケでもないのに素人みたいなミスばっかりしてますよね。
わたしはホームズで推理小説に目覚め、ポアロさん、金田一さんで育っちゃいましたからねぇ、こういうつまらないミスをする探偵ってのはどうもねぇって思っちゃいます。ぼくらの時代(栗本薫のデビュー作)みたいに、素人探偵が間抜けなことをする分には構わないんだけどね。
ラストの種明かしも、それって都合良すぎないって感じがして「本格的ミステリ」じゃぁないなぁっていうのが、わたしの感想です。
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