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『一瞬で信じこませる話術コールドリーディング』 石井裕之

 「相反する2つの面からその人を評価すれば必ずヒットする」というのは単純でありながら、その仕組みを知らない人から見ればマジックなんです。(本文より抜粋)

 一見大人しく見える人でも、かならず何か強い願望を持っているし、逆に強く見える人でも、弱さを隠し持っているんです。弱いだけ、強いだけの人なんていないんです。

 ものすごくマッチョでタフに見える人が実はディズニーランドが好きだったり、しとやかなお嬢様だと思っていたら、バンジー・ジャンプ大好きだったり、人間は必ずいろんな面を持っています。

 だから極端な2つのことを持ち出せば、必ずどちらかにヒットするってことなんです。

 「あなたはこれまで真面目な会社員でした。一生懸命我慢して自分を出さないようにしてきたんでしょ?でも、心の中に熱いものを持っていて、それをいつか実現させようと思ってますよね。」なんて言ったら、たいていの人は「そうなんだよ」って答えますよね。もし、「いや、そんなことはない」という人がいたとしても、「まだ、やり残していることがありますよね。」と追撃すれば、「そうかもしれない」ということは間違いありません。

 そういう人間の心理をうまく使っているのがコールドリーディングなんです。

 みんな自分のことを個性的な人間だと思っています。でも、案外同じだってところも多いものです。「まだ整理していない写真があなたの部屋の中にありませんか?」なんて聞かれたら「あっ、そういえば」と思い当たる人がほとんどですよね。

 「奥さんの誕生日のプレゼントに悩んだことはありませんか?」とか、「老後の生活に不安はありませんか?」、「ダイエットしてますか?」なんて質問は十中八九「そうなんですよ」という答えが返ってきます。そういうものを積み重ねていくうちに、「この人はわたしの事を分かってくれる。」という誤解が生じるわけです。

 これをうまく使って営業成績を上げている人もいれば、詐欺をしている人もいます。どうせなら良いことに使って欲しいんですけどね。誰かを口説く時とか、初めて会う人と会話を弾ませるために使って欲しい技術なんですよ。

 人の心とはもともと矛盾したものである。

 人間の心理というのは、けっこうご都合主義なんです。なるべく自分が有利になるように考えたいんです。自分を誉められたい、自分が大事だと評価されたい、自分を分かって欲しい、そういう気持ちを誰でも持っています。

 自分から「わたしって凄いでしょ!」なんて言うことが出来る人はそうはいません。特別に目立つのはイヤだけど、でも誰かにちょっと誉めてもらいたいっていう気持ちをうまくくすぐれれば、それが信頼感に結びつくんです。

 ちょっとした言葉で、そこまで人は信じちゃうのかって疑ってませんか?だったら、ぜひこの本を読んでみてください。

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