『絵はがきで見る日本近代』 富田昭次
鎖国が解かれ、外国からさまざまな文化が一気に押し寄せました。日本はそれをものすごいスピードで吸収し、日本流にアレンジするいわゆる和洋折衷の文化を作り出してきたのです。
最初の頃は真似から始まりました。建築物、汽車、自動車、ガス燈、洋服、日本人はわずか100年の間に見事に生活の中に取り入れてきたのです。
現在はTVやインターネットを通じてさまざまなニュースを知るのですが、第二次世界大戦以前の日本では、絵はがきがそういった役割を果たしていたのです。新しい建築物や駅ができると、必ず絵はがきになりました。お祭りや大きな行事も、戦争も、すべてが絵はがきの写真で残ったのです。
たとえば、東京見物に来た人はたいてい日本橋や銀座通りに行きますよね。その風景を写した絵はがきを記念写真の替わりに買って帰り、それを家族や友達に見せたんです。そして「こんな凄いところへ行ってきたんだよ!」と自慢したのでしょうね。
仕事などで離れた土地にいる家族に、自分のいる土地の風景を見せたくて絵はがきを送った人もたくさんいたのでしょう。
侵攻していった満州や朝鮮半島でも、同じように絵はがきを作っています。そこには、もう見ることのできない(戦後ほとんどが破壊されたので)神社や学校の様子を見ることができます。こんなに立派なものを作って、国力を示していたんだなぁと改めて感心してしまいます。
関東大震災や空襲でなくなってしまったものもたくさんあります。戦後壊してしまったものもたくさんあります。むかし、日本はこんな国だったんだということを326枚の絵はがきは教えてくれます。
ところで、明治天皇って写真嫌いだったんですってね。だからわたしたちがいつも見ている明治天皇の写真って、実はイタリア人の画家が描いた油絵なんですって!
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