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『大人の友情』 河合隼雄

大人の友情
大人の友情
posted with amazlet on 05.11.30
河合 隼雄
朝日新聞社

 「ほんとうの友人とは?」という問いに対して、アドルフ・グッゲンビュールはこう答えた。「夜中の12時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」(本文より抜粋)

 もの凄いたとえですけど、確かに本当の友達でなければ成立しない話ですよね。本当に我が身にそんなことがあったとして、黙って話を聞くだけの腹づもりがあるかなぁ?

 子供の時からの友達っていうのは、隠す過去がないっていう分が楽なんでしょうね。家族のことも、嗜好も、クセも、ほとんどのことが織り込み済っていうのは、お互いに気が楽ですよね。

 大人になってからの友達っていうのは、そういう根っこの部分が全く違うわけで、その違いをどう理解し合うかって所が難しいなぁって思うことがよくあります。

 仲の良い友達だからといって、いつもベッタリ一緒にいるのはまずいんじゃないかと著者は言っています。一緒にいすぎると、自分たちは同じなのだという誤解が生じてしまって、お互いが違う人間であるということを忘れてしまうことがあるんじゃないかっていうんです。

 同じだと思いこむ余り、相手がいつもと違うことをすると、それがケンカの種になってしまうなんてことが起こるっていうんです。自分と友達が別の人格であるということが分からなくなるって不思議な感覚ですよね。

 親友の配偶者や恋人を好きになってしまって三角関係になってしまうっていうのは、こういう心理から発生するのでしょうか?そう考えると、「親しき仲にも礼儀あり」って大事なことなんだなぁと思えてきます。

 「友達だから何でも分かる」なんて思っていると、とんでもない間違いだったなんてことにならないように、一歩引いて考えるってことも大切なのかなぁ?

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日本の作家 か行」カテゴリの記事

コメント

トラックバック&コメントをいただきありがとうございました。
 子どもの頃の友達と違って、大人になってから出会った方との距離の取り方や家庭環境や職業、立場の違いなどへの理解と配慮など、いろいろと考えさせられました。
 さすが、河合先生!
 分かりやすく、内容の充実した本で、しかも読者に考えさせてくれる本だと思いました。

まざあぐうすさん☆コメントありがとうございます。
まざあぐうすさんのご紹介で知った本ですもの、こちらこそお礼を申し上げます。
友達というものについて、深く考えるきっかけになる本でしたね。

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» 「親しき仲にも礼儀あり」 [歩いて宇宙旅行〜インリン似のパンダが書く生活日誌〜]
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