『あなたと、どこかへ。』
角田光代 石田衣良 吉田修一 川上弘美
文藝春秋
この本は、日産「ティアナ」のサイトで公開されていた短編をまとめたものです。ですから、どの作品にも車が登場します。といっても車が主人公なのではなくて、ドライブにまつわる思い出が中心です。
石田衣良さんが書いている「本を読む旅」はいいですねぇ。旅っていうと、温泉に入るとか、観光するとかっていうことを考えがちですけど、そういうことは一切排除して、単に本を読むためだけに旅に出るというお話なんです。前から読みたいなぁと思っていた本を10冊ほどと、着替えだけを車に積んで旅に出るって、憧れちゃうなぁ!
片岡義男さんの「遠い雷、赤い靴」は、20年前に奥さんと出会った場所へ車で出かけるというストーリーです。車を運転をしながら彼女との出会いを思い出したり、現在の彼女との状況を考え直したり、大人の男性の心理ってそういうものなのかなぁって思えてきました。
他の作品もそれぞれにいいのですが、この2編が特に気に入りました。同じテーマを与えられても、みんな違うイメージを広げていくんですね。それぞれの世界観が見えてくるような、そんな短編集でした。
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ドライブをモチーフに、8人の作家によって鮮やかに描かれたアンソロジー。
登場人物が、どの編も常識をわきまえた「大人」であり、男女や親子など、その間を繋いでいる絆の脆さが感じられず、とても好印象な物語ばかりだった。
車という密室の中での男女の会話や、その特...... [続きを読む]
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私も本を読むための旅、やってみた~~~い!
それから車の運転をしながら、昔の彼と行った場所を訪ねてみた~~い。
なんでもいいから休んで旅行したい!
投稿: ゆみりんこ | 2005年12月 5日 (月) 23:07
ゆみりんこさん☆だいぶお疲れのようで
目的のある旅行も良いけど、当てのない旅ってのもいいなぁ。
「命の洗濯」っていうのがしたくなるのよねぇ。
投稿: Roko | 2005年12月 5日 (月) 23:15
こんにちは。
この作品集、私は、吉田さんと角田さんと川上さんの作品が好きでした。
特に川上さんの作品は、最後は涙ぐんでしまいました。
うまいですよね。
車中での会話って、また違った雰囲気がありますよね!
投稿: ゆう | 2006年5月21日 (日) 10:49
ゆうさん☆コメント&トラバありがとうございます
そんなに遠くでなくても、どこかへ出かけるということが、いつもと違う自分を発見できるような気がします。
それも、1人ではなく2人でね。
投稿: Roko | 2006年5月21日 (日) 11:46