『アンボス・ムンドス』 桐野夏生
桐野さんの本を手にする時、どんな女が出てくるんだろう?と期待が膨らむ。悪い女、ひがみっぽい女、醒めた女、焦る女。若くても歳を取っていても、女ってみんな腹黒い!
キレイに化粧するのも、ブランド物を買い漁るのも、エステに通うのも、ヨン様に熱を上げるのも、みんな根っこの所は同じ。だって女なんだもん!
この短編集にも、いろんな女が登場する。なんて嫌な女なんだろうって思いながらも、その女がまき散らす毒をわたしも持っているってことに気が付く。
どうして女って悪口が好きなんだろう?「ねぇ、知ってる?あの奥さん実は○○なのよ!」「此処だけの話だけど、お隣のご主人××しちゃったらしいの!」どこへ行ってもこんな話ばっかり聞こえてくる。
タイトル作のアンボス・ムンドスに出てくる小学生達だって、もう立派に意地悪な女になってるものね。
満たされない心の隙間を満たすために、「わたしは被害者」という妄想に捕らわれてしまっている人って、とっても多いと思う。その負の力が、更に満たされない状態を呼ぶんだろうなぁ。それに気が付かないまま過ごす一生なんて、冗談じゃないよね!
桐野さんが描くダークな女の世界って、怖いんだけど目が離せないって感じ。
ごく普通の生活の中にある悪意って、他人のには気付くけど、自分のには気付かないって所が怖いのよね。何かの拍子にその悪意が増幅すると、もの凄いことになるんだろうなぁ。
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Rokoさん、こんばんは。
この作品がわたしの桐野夏生デビューとなりました。
女性って、こんなにも怖いものだったのかと、
自分自身も怖くなるような、作品ばかりで、びっくりです。
ホント、「小学生をあなどるなかれ」ですよね。
いくら幼くとも、女ということを忘れずにいよう…と思います。
投稿: ましろ | 2007年5月 4日 (金) 21:38
ましろさん☆こんばんは
桐野さんの作品を読むたびに、「女って怖いなぁ!」と思うのです。
自分の中にもその怖い部分があるというのも再確認させられてしまうし。
桐野さんの目線はとても怖いのです。
投稿: Roko | 2007年5月 4日 (金) 22:57