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『「ロボット」心理学』 佐々木正悟

「ロボット」心理学
「ロボット」心理学
posted with amazlet on 06.05.15
佐々木 正悟
文芸社

 自分が興味を持ってやろうとしたことを、最初は熱心にできていたのに、段々とそれに飽きてしまうのって何故なんでしょう?

 新しく何かを始めようとは思うのだけど、なかなか第一歩が踏み出せないのは何故なんでしょう?

 先日の「手帳ブログ」のススメ 出版記念セミナーの時、大橋さん にそんな質問をしたところ、是非読んでみて下さいと勧めて頂いたこの本、図書館で見つけたのでさっそく読んでみました。

 朝起きたら顔を洗う、トイレから出たら手を洗う、割り箸を割ったら箸同士をこすり合わせていたり、電車では必ず端の席に腰掛けていたり、なぜか黒い服ばかり買っていたり、普段の生活の中で、何も考えずにやってしまっている事って沢山ありますよね。

 自分の中の自動化されてしまっている部分を、この本の中では「ロボット」と呼んでいます。車の運転のように、ロボット化してしまった方が便利なこともあります。もしも100%の集中力を車の運転に注がなければならないとしたら、ドライブしながら音楽も聴けないし、話も出来無くなっちゃいます。

 人間には学習能力があるので、同じ事をするとしても1回目よりも2回目の方が簡単にできますよね。これがロボット化が進む原因なのです。これによって、2回目以降に同じ作業をするときの緊張感や集中力、そして満足感は低くなるわけです。

 あんなにドキドキしながら読んだ推理小説も、2度目にはドキドキしなくなりますよね。デートだって最初はあんなにワクワクしたのに、何度もデートを重ねるうちにマンネリ化してしまったり。毎日の暮らしがつまらないなぁと思っているとしたら、きっとあなたの生活はロボット化しています。

 「ロボット」のエネルギーとは要するに「私」の欲望(欲求)である。欲が少なくてすむ「ロボット」の活動からは得られるものが少ないのは当然だ。いつも食べてばかりいる人は食べる為の「ロボット」がつねに活動し続けている。だから街のいたるところにある「食べ物」の写真やにおいという「外部の刺激」によって「ロボット」が簡単に動き出す。内部の「食欲」というエネルギーはほとんど要らない。だから「おなかがすいていなくても食べる」ということになるのだが、欲していない行動から得られる快感はあまりにも少なくなる。繰り返せば繰り返すほど、限りなくゼロに近づいていく。(本文より抜粋)

 快感が少なくなっていくから、もっと快感を得たくて摂取量が増えていく「中毒」や「依存症」というのは、こういうメカニズムだったのですね。

 自分がやっている事なのだから、自分の意思なのだとわたしたちは思い込んでいます。じゃぁ、なぜそういうことをやってるの?と人から言われた時こそがチャンスなのですが、「わたしの勝手でしょ」と返事してしまうのはどうしてなのでしょうか?

 自意識のコントロールがなくなっているのが問題だ。

 自分が何故そんな行動を取るのか、何故そちらを選択するのか、ということを改めて見直してみるってとても大事な事なのだと思います。人からは不合理であっても、自分なりの理由があるのならば、それは構いません。でも、ずっとこの方法でやってきたから、とか、それが当たり前だからなんて答えでは答えになりません!

 自分でも理由が分からないのにやっている事があると分かった時、それはきちんと解決しなければいけないはずです。そうする事によってのみ、ロボット化された自分に気づくことができるんですから。

 あなたの中にはどんなロボットがいるのでしょうか?

 この本の作者佐々木さんと大橋さんが一緒に記事を書いてらっしゃる Lifehacks というサイトもおもしろいですよ!

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