『てのひらの迷路』 石田衣良
原稿用紙10枚分の短編が集められたこの本。小説という形は取っているけれど、石田さん自身の個人的な話もたくさん出てきました。
どのように小説のアイデアを作っていくのかという話、渋谷に遊びに来るのが生きがいの女の子へのインタビュー、ふと耳にした話から出来上がったストーリー、どれもこれも石田さんらしいなぁと感じます。
ラジカセをおとうさんに買ってもらった時の話。雨の中、自転車で橋を渡ったときに虹を見た話。お母さんが入院した病院での話。投稿しようと書いていた小説のデータが消えてしまった話。石田さん自身のことを思い起こして書いている文章を読むと、その光景が目に浮かんできます。
誰にだって思い出というのはたくさんあるのに、それを文章にしているのは極わずかな人だけ。石田さんのようにステキな文章が書けたらいいのだけど、なんて思いながら書けずじまいなのはわたしも同じ。
わたしも、自分の思い出をちょっとずつ書いていこうかなと思います。もしかしたらそれは、わたししか知らないことかもしれないし、同じ体験をした人もいるかもしれないから。
わたしが書いたものを読んで、読んだ人がまた別のことを思い出すかもしれないなんて考えると、何だか楽しくなってきました。
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» 『てのひらの迷路』 石田 衣良・著 [図書館で読書]
てのひらの迷路
石田 衣良
「新刊展望」に二年に渡って連載していた掌編をまとめた短編集。
石田さん自身をモデルに書いている短編も多く、石田さんファンの私としてはとても楽しく読ませてもらいました。
ファンではない方が読むと、石田衣良という作家の人となりや人物像が感じられる作品だろうと思います。
また、これから小説を書いてみようかなと思っている方には参考になる一冊だと思います。
小説の書き方やヒント、手順なるものが短編の題材として書かれていますので。
いつかは小説をかいてみたい... [続きを読む]
» ▲ てのひらの迷路 石田衣良 [IN MY BOOK by ゆうき]
てのひらの迷路石田 衣良 講談社 2005-11-15by G-Tools , 2006/04/14
石田衣良ファンの方は読まないほうが良い、と、思われる感想。
24のショートショート。ひとつひとつの作品に前書きがついている上に、自伝的な小説が多く含まれているので、石田衣良ファンには、たまらない一冊かと思われます。ペンネームの由来もわかりますしね。
好きな作品もありました。「ナンバーズ」「書棚と旅をする男」は、普通にいいお話でした。奇妙な遠距離恋愛を描いた「片脚」「左手」... [続きを読む]
Rokoさん、こんにちは♪
私も「レインレインレイン」好きです。
石田さんのプライベートが垣間見える短編集で、お気に入りです。
文章を書く上での参考にもなりますよね。
図書館でかりて読んだので、手元においておきたい気持ちがあります。
投稿: りーふい | 2006年5月14日 (日) 14:36
りーふいさん☆コメント&トラバありがとうございます。
>石田さんのプライベートが垣間見える
そうそう、ファンとしてはとても嬉しいです!
ところで、ダイエットもお互いにがんばりましょうね!
投稿: Roko | 2006年5月14日 (日) 17:23