『なぜ、あなたはここにいるの? カフェ』 ジョン・ストレルキー
こんなことを考えたことありませんか。
「毎日忙しくてできないけど、そのうちにやろうと思っていることがある。」
「今年こそ、南の島へ行って思いっきりのんびりするんだ。」
「そういえば、仕事場と家の往復しかしていない。」
この本の主人公もそんなことを考えて毎日を暮らしていました。やっと休暇が取れて、さぁ出かけようと思ったら渋滞につかまってしまって、その渋滞を避けようと別の道に入ったら、こんどは道が分からなくなり、迷い込んだのがこのカフェでした。
そのお店のメニューの一番上には、こう書かれていました。
なぜ、あなたはここにいるの ?
主人公はこの店で数人の人と出会い、いろいろなことを考えるようになります。
たとえば、「忙しい、忙しいといいながら、何と無駄な時間を過ごしていたのだろう」と。
毎日チェックしているメールの中には無駄なものがたくさんあります。というか、無駄な方が殆どかもしれません。そのメールをチェックする時間を計算してみると、自分の生涯の中の丸1ヶ月をそれに費やすことになるんです。
メールだけじゃありません。実に多くのことに無駄な時間と労力とお金を使っていたのです。
わたしにとって一番印象的だったのは、アンという女性の話です。彼女jは毎日忙しく働いて、そのご褒美として自分に買い物をしていました。自分で自分にご褒美って、良くある話ですよね。
でも、これがいつまでも忙しさから抜けられない原因だってことに彼女は気が付いたんです。
人は、忙しい心の隙間を埋める為にものを買います。もので空間は埋まるけど、心の隙間は埋まりません。買い物はついついエスカレートして、より高いものが欲しくなってきます。高いものを買うためには、より多くのお金が必要となり、そのお金を稼ぐ為に、更に働かなければならなくなります。
結局ものを買うために働くことになってませんか?まるで中村うさぎの世界ですねぇ。なんて笑ってばかりもいられません。
あなたは、そんなものを買うために頑張っているわけじゃないでしょ。あなたにはやりたいことがあって、それに向かって進んでいたはずなのに、いつの間にか「そのうちにやろう」と棚に上げてしまってない?本当に欲しいものを求めずに、違うもので埋めようとしているから、いつまで経っても満足できないんじゃないの?
「好きなことをやるために働かなくちゃ」だったはずなのに、いつの間にかそれが逆転しちゃって、「働くのに忙しくて、好きなことができない」と思い込んでない? そうなんです。まさに、そのとおりなんです。
なぜ、わたしはここにいるの ?
何のためにわたしは生きているの ?
自分自身に問いかけてみてください。大事なことを想い出すために。
☆☆☆☆☆☆(絶対オススメ!)
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