『美人になりたい』 中村うさぎ
中村うさぎという人の面白さは、そのエスカレートぶりの見事さだとわたしは思っています。買い物に走り、ホストに走り、そして、自分の顔の整形ときた!最初はプチ整形の注射だけという予定だったのに、気が付いたらフェイスリフトまでやっちゃったんです!
その結果がこの写真です、ウ~ン!確かにキレイ!
本当は直面すべきコンプレックスの核があって、エクスキューズとして「だってブスだもん」「だってデブだもん」っていうコンプレックスが立ちはだかっているんだと思うんです。(本文より抜粋)
うさぎさんが顔を変えていこうと思ったのには訳があるんです。自分の顔をブスだと思う気持ちを排除できたら、その向こう側にある、もっと根元的な問題に気づけるんじゃないか?ということです。本当はもっと大きなコンプレックスが存在していて、それをカモフラージュするために「だってブスだもん」という自分を強調しているんじゃないか?というんです。
まわりの人達は、うさぎさんは決してブスだった訳じゃないと言っています。「だけど、誉められた事なんてないよ」とうさぎさんが反論すると、せっかく誉めたって「わたしが綺麗なわけないジャン」と聞く耳を持ってなかったでしょ!と口を揃えて言っています。
整形後は、誉められたら素直に聞けるようになったと、うさぎさん自身も認めています。コンプレックスがなくなるとともに、自分の中にある「自分を否定する気持」がなくなったということなのでしょうね。
見た目に自信ができれば、心にも余裕ができるんですね。美容整形というと、顔や容姿を直すものと考えがちですけど、実は心を直すものなのかも?と思えてきました。
整形したことが恥ずかしいと思うくらいなら、しない方がいい。そういう人って、何もかもが受け身なんですよ。
化粧も、プチ整形も、ダイエットも、エステも、結局は心を満足させるための手段なのでしょうね。だからこそ、目的意識をきちんと持っていないと意味がないんです。途中で挫折してしまったり、整形ジプシーや、ダイエット・ジプシーになってしまう人って、受け身な人生なのだっていうのには、考えさせられてしまいました。
うさぎさんの場合は整形という手段でしたけど、何らかの方法で自分のコンプレックスを消していくというのは有効な手段だと思います。自分の根っこの部分というのが一番の謎ですからね。
いろいろ大変な思いをして顔を直していく課程で、本人にとってはもの凄いコンプレックスだった部分を直して、「ワーイ、こんなに変わった!」と思っているのに、周りからのリアクションのなさにがっくりして、「こんなに変わったのに誰も気づいてくれない!」というボヤキが何度も出てきます。
人からどう見られるのか?ということを気にして整形までしたのに、案外と他人はそんなこと気にしちゃいないということに気が付いたうさぎさん。自分の意識と他人の意識の差に気づいて、結局これって自己満足のためにやったんだ!ということに気が付いたんです。
ブスだから評価されないのではなく、「自分はブスだと思っている自分が、勝手に自己評価を下げていただけなんだ」ということに気づいたら、心の中の固さがちょっとほどけてきたようです。
世の中の「ブスだから」「頭が悪いから」「気が弱いから」「歳だから」なんてバリアを勝手に作って、あきらめてばっかりの人生を送っている人ばかりです。
うさぎさんのように、自分のコンプレックスに真っ正面から立ち向かってみることが、自分の人生を変えるチャンスなのですね。
わたしも、うさぎさんの勇気を見習おうと思います。
« フライハイト通信 創刊号 | トップページ | ツバメの季節 »
「日本の作家 な行」カテゴリの記事
- 『二十四五』 乗代雄介 25-12-3408(2025.01.14)
- 『Buying Some Gloves(手袋を買いに)』 新美南吉 マイケル・ブレーズ 訳 24-355-3381(2024.12.15)
- 『朝読みのライスおばさん』 長江優子 みずうちさとみ 24-336-3362(2024.11.26)
- 『小さな出版社のつづけ方』 永江朗 24-284-3310(2024.10.05)
- 『小さな出版社のつくり方』 永江朗 24-271-3297(2024.09.22)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『美人になりたい』 中村うさぎ:
» 美容外科・美容整形外科 東京の美容クリニック [美容外科・美容整形外科 東京の美容クリニック]
美容外科・美容整形はやはり東京が進んでいますね。東京の美容外科・美容整形クリニックをご紹介します。 [続きを読む]
コメント