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『銀齢の果て』 筒井康隆

銀齢の果て
銀齢の果て
posted with amazlet on 06.06.29
筒井 康隆
新潮社

 日本では少子化が進み、老人が増え過ぎたと判断した政府は、老人同士で殺し合うことを法律で決めてしまいます。ある決まった地域(町内であったり、老人ホームであったり)で老人達が殺し合い、最後の1人だけが生き残れるというシステム、マスコミは「シルバー・バトル」と名付けたのです。

 老人が増えて困ったというけれど、じゃぁ今まで長生きは良いことだと言ってたじゃない?老後はのんびりしてくださいって言ってたのは何なの?老人は大事にしなきゃって言ってたのはウソ?

 筒井さんはやっぱり、凄いテーマを選びますねぇ!ご自身が70歳になるのを待って書いた作品なのだそうですが、色んな問題をはらんだ作品です。でも、そういうことは感じさせずに、ひたすらドタバタに進んでいくところがいかにも筒井さんだなぁと思うのです。

 人と人とが殺し合うってことのバカバカしさと、いざとなったら自分だけ助かろうとするエゴイズム。老人同士で殺し合いなさいといいながら、寝たきりの人はその範囲に入れるべきなのか、障害のある人は別枠にしてしまったら逆差別なのではないかなんて、悩み続ける政府のいい加減さは、悲しいのを通り過ぎて、笑ってしまいます。

 そう、この物語は余りにも本当のことなので、笑ってしまうことばかりなのです。(ホントは笑ってる場合じゃないけど)

 昔は死ぬことがリスクでしたけど、今は長生きすることがリスクなのかなぁって思うことがあります。ただ闇雲に長生きしたってしょうがないんです。まずは自分が元気でなけりゃ意味ないし、家族や友達がいなかったら、どうにもつまらないんです。

 おっと、筒井さんの作品を読んで、そんな深刻なことを考えてちゃいけませんね。

 人生何が起きるか分からないんだもの、いつ死んでも悔いが残らないように、毎日楽しく暮らさなくっちゃね!

 P.S. 筒井さんと山藤さんのコンビネーションは、相変わらずサイコーです!

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» 本「銀齢の果て」 [富久亭日乗]
 (筒井康隆、新潮文庫)  少子高齢化で高齢者の増加に手を焼いた政府が 新たな解決策を打ち出す。 70歳以上の老人に殺し合いをさせる 「シルバー・バトル」制度だ。 日本国中、都会でも田舎でも 生き残りをかけた殺し合いが始まる。 各地区で生き残れるのはひとり。 生き残った老人たちは政府への 反乱を企てるが・・・・・・       身の毛がよだつとはこのことだ。 人間の尊厳とはなにかを考えざるを得ない。 長生きは悪なのか、というテーマは 「楢山節考」にも通じるものがある。 筒井がこの小説を書いたのは 「... [続きを読む]

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