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『沖で待つ』 絲山秋子

沖で待つ

絲山秋子(いとやま あきこ)

文春文庫

第134回(2006年)芥川賞 受賞

 最近の芥川賞受賞作品の中では、一番面白かったなぁ。でも、前回は直木賞候補だったのに、何で今回芥川賞なんだ?なんて疑問も持ったりして。絲山さんほどの人が、芥川賞っていうのも何だか不思議だし。文学賞って、よく分かりません。

 

 男女雇用機会均等法なんて法律ができたって事は、それだけ機会均等じゃなかったってことで、表面上は機会均等になりつつあるけど、やっぱり今でも「寿退社」とか、おめでた退社ってのは多いですよね。だって均等に働いていたら、誰が子どもの面倒を見るのよ!ってことだもの。

 

 日本が少子化になって困るとか、ニートが増えて困るとか、いろいろ言われているけれど、その原因についてはちっとも考えられていないじゃない!個人生活よりも会社の都合ばかりを優先した結果、こうなっちゃったんだってことを、反省しなきゃまずいでしょ!

 

 本当はね、労働時間を少なくする方に向かって均等になればよかったのに、より長時間働く方に合わせて均等になっちゃったんですよね。男と同じように働こうとした女性達の中には、結婚もせず、仕事に情熱も余り持てず、会社でもどっちつかずの立場になってしまった人達がかなりいると思うのです。

 

 この本の収められている「沖で待つ」と「勤労感謝の日」の主人公は、そんな女性達です。

 

 「勤労感謝の日」の主人公は、上司とケンカをして会社を辞めてしまって、この後どうしよう?と悩む30代半ばの女性。近所のおばさんから見合いを勧められて、断り切れずに見合いをしたけど、相手の男にムカついて中座してしまいます。

 

 仕事もしてないし、結婚もしてないし、これぞ宙ぶらりんの極みって状態ですよね。

 

 「沖で待つ」の主人公は、会社にはうまくなじんでいるけど、同期入社の「太っちゃん」の死にちょっと動揺しています。太っちゃんとの約束を実行しなければいけないということを想い出してしまったのです。

 

 この2人の女性の考え方や、ライフスタイルって、これまでの女性に想定されていたものとはかなり違うんだなぁって思います。同年代の結婚した女性よりも、同世代の男性との共通項の方がよっぽど多いのだということに、ある意味愕然とします。

 

 彼女達の心の拠り所って、どういうところにあるのかってことが気になります。

 

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コメント

そうなんですよねー。
大変な方にあわせちゃったのが間違いなのかも。
男も女も同じように働くとはいっても、体の仕組みも違えば
出産という重要な任務もあるわけじゃないですか。
均等の意味を「まったく同じ」としてしまうと
かなりきついものがあると思います。
男女が均等に働けるように、女性の体の仕組みにあわせた
働き方のルールをしっかり作って欲しいものです・・・。
女性しかできない妊娠・出産ということをやっても
男性と同じように働き続けられる社会の仕組みを作る。
それこそ本当の平等ですよね。

みわさん☆そうなんですよ。
とにかく日本人は働き過ぎですからねぇ。
子どもを産む女性を大事にしなきゃいけないのはモチロンですけど、男性にだって、もっとゆとりを持ってもらわなくっちゃ!
子どもにとってお父さんだって重要な存在のはずなのに、仕事ばかりに専念してちゃマズイでしょ!
家族と過ごす時間、友達と過ごす時間、自分1人の時間、そういうものが無い状態が続いたら、そりゃ人間おかしくなりますよ。
働くだけが人生じゃないってことに気が付かないとね。

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