『vintage '06 (ヴィンテージ・シックス)』
篠田 節子 藤田 宜永 唯川 恵
講談社
この本はワインをテーマにした短編集です。数年前からこんな風にテーマを決めて書き下ろしてもらうタイプの短編集が増えましたね。
父の手(石田衣良)
東京から田舎に戻ってこようと思い実家に帰ってきたのですが、それを父親になかなか言い出せないのです。父親と息子って、いくつになってもライバルなのかなぁ?
トカイ行き(角田光代)
彼氏に振られた主人公はハンガリーへと旅立ちます。そこでトカイというワインを作っている町のことを知り、行ってみることにしたのです。
失恋したのをきっかけに会社を辞めてしまったり、旅に出たりするのは何故女性ばかりなのでしょうか?
ひとしずく(重松清)
奥さんの誕生日に、彼女が生まれた年のワインをプレゼントしようと思い立ったんです。2人でこのワインを楽しもうと思っていたのに、思わぬ邪魔が入ります。
天使の分け前(篠田節子)
世界の首脳を集めて大晩餐会を開こうと、フランス大統領が計画を立てます。豪華な食事とワインが用意されるのですが。その会場に誘拐犯人から電話が入ります。
腕枕(藤田宜永)
離婚したばかりの映画監督が、若い頃に暮らしていたパリを訪れます。そこで出会った日本女性と話をするうちに、若い頃のことを想い出します。
浅間情話(唯川恵)
ワケアリで田舎に帰ってきた依子さん。別荘のお手伝いさんとして働くようになりました。
特定のワインにこだわる人、思わぬ所で素晴らしいワインに出会う人、それは人との出会いとも似ているようです。
ワインを主人公として物語を作る人、脇役として描く人、それぞれの作家の個性が出てますね。気に入ったのは「トカイ行き」と「天使の分け前」です。方向性は全く違うけど、ワインに対する思いの深さがいいなぁって思いました。
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