『中村屋のボース』 中島岳志
新宿中村屋のインドカリーはとても有名ですが、これを中村屋が作ることになったきっかけを作ったラス・ビハリ・ボース氏のことは余り知られていません。実はこの方、戦前の日本ではかなり有名な方だったらしいのですが、わたしはこの本で始めてこの方のことを知りました。
ボース氏が生まれ育った頃のインドは、英国の植民地として虐げられた生活を強いられていました。当時の総督であった「ハーディング爆発未遂事件」の実行犯としてイギリスから指名手配されたボース氏は、日本へ逃げて来たのです。
そんな彼をかくまったのが、新宿中村屋の社長夫婦、相馬愛蔵と黒光です。警察からインド人革命家2人を救った「ボースとグプターの神隠し」は当時の日本で大きな話題となったのだそうです。
結局その後の30年余りを日本で過ごしたボース氏ですが、とても日本を愛してらしたんですね。でも、英国と同じように帝国主義を突き進む日本へ対して複雑な気持ちを持たれていたのでしょうね。
こんな歴史があったということを知ることができて良かったという思いと、日本ってどうしてこういう国なのかなぁ?という思いが湧いてきて、複雑な気持ちになってしまいました。
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