『雨のち晴れ、ところにより虹』 吉野万理子
なぎさ通りで待ち合わせ
オイシイもののためにはお金をいとわない美也子さん。微妙な味わいよりもお腹がイッパイになることが大事だと思っている渉さん。2人がうまくいかなくなったのは、そんなところが原因なのかもしれない。
グルメ過ぎるのも辛いけど、渉さんみたいに何でもイイっていうタイプもキツイですよねぇ。そのどちらも分かってくれるお父さんの存在って大事だなぁって思います。
こころ三分咲き
優花のお母さんは予備校の人気講師で、いつも忙しく働いている。だからいつもすれ違いになりがちな2人。ある日、お母さんに秘密があるんじゃないかと優花は思い始めたのです。
お互いに分かり合っていると思い込んじゃいけなし、かといって総てを伝えれば良いというものでもないし、コミュニケーションって難しいなぁって思います。相手の真意とは無関係に、勝手に相手のことを想像してイメージを作り上げてしまうことの危うさを感じました。
ガッツ厄年
最近厄年のせいか、とんでもないことばっかり起きるのよねぇ。厄払いに行きましょうよ!ということで、厄年の女3人が鎌倉へ向かったのです。
厄払いに行ったはずなのに、ご飯だけ食べて帰っちゃったりするところが、女同士のいい加減なところ!でも、そんな友達がいるからこそ厄年も乗り切れるのかなぁなんて思います。
雨のち晴れ、ところにより虹
須藤さんはホスピスに入院している。彼の担当の看護婦である常盤さんは毎日明るく接してくれるけど、須藤さんの心は晴れないのです。
須藤さんはずっと何かから逃げていたんですね。入院した今もまだ逃げ続けているから、どうも素直になれないんじゃないかなぁ?そんなにリキまなくったっていいのに、無理していたツケが病気の元になっちゃったんじゃないかなぁ?
ブルーホール
雄貴くんのオジイはダイビングのプロだ。2人で釣りをしていたら、知らないおじさんが声をかけてきた。そのおじさんと話をするうちに、ブルーホールの話になった。
夢を語る少年っていいですよね。優しく話をしてくれる大人の存在もステキです。こういう子供時代を過ごした少年なら、きっとステキな大人になるんだろうなぁって思えてきました。
幸せの青いハンカチ
親友、佐和子の結婚式に出席するために逗子マリーナへやって来た佳苗。親友におめでとうと言いたい気持と、寂しくなるなぁという気持が複雑に入り交じっているのです。
寂しいという気持は、実は自分が勝手に持ってしまうものだと、人はなかなか気づかないものです。佳苗さんは、そこに気づくことができて幸せだなぁって思いました。
この本を読んでいるうちに、湘南や鎌倉の風景が目に浮かんできました。江ノ電に乗りたいなぁ!
「雨のち・・・」以外にも何度も登場する常盤さん、実は彼女がこの本の主人公なのかなぁ?
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» 雨のち晴れ、ところにより虹 吉野 万理子 [モンガの独り言 読書日記通信]
雨のち晴れ、ところにより虹
吉野 万理子
249 ★★★☆☆
【雨のち晴れ、ところにより虹】 吉野 万理子 著 新潮社
《六つの話、六つの奇跡、六つの爽やかなオチが待っている》
内容(「BOOK」データベースより)
人の繋がりは優しさだけで出来ているんじゃない。でも怖がるだけじゃ何も始まらないことだって知っている…。夫婦のすれ違い、親子の行き違い、親友との仲違い。きっかけはみんな些細なことなのに、想いがねじれ交錯する。人は何度でも幸せになる資格がある。湘南を舞台に描... [続きを読む]
» 「雨のち晴れ、ところにより虹」吉野万理子 [本のある生活]
雨のち晴れ、ところにより虹
この美しい表紙と、あちこちでの絶賛。すごく気になっていたんです。吉野さんの作品は、「秋の大三角」でちょっとがっかりもしたんですが、これはきっといいに違いない!と。で、読み始めてみると、確かに読後感が優しくあたたかくていいので....... [続きを読む]
» ● 雨のち晴れ、ところにより虹 吉野万理子 [本を読んだら・・・by ゆうき]
雨のち晴れ、ところにより虹
吉野 万理子
新潮社 2006-07-20
すっごく良かった!超、好き!特に女性にはオススメ!男性でも、好きな人は好きだと思う。
もしかしたら、ミステリィ以外で、ものすごく好きになれる作家さんを、久しぶりに発見しちゃったかもしれません。この本がいいだけではなく、この本から著者の才能も、将来性も、ひしひしと感じます。ワクワクします。完全に若者向けだった前作「秋の大三角」からは、ずいぶんジャンプアップしています。
わたしはこの本を、図書館の新刊本コーナ... [続きを読む]
» 雨のち晴れ、ところにより虹 〔吉野万理子〕 [まったり読書日記]
雨のち晴れ、ところにより虹
≪内容≫
人の繋がりは優しさだけで出来ているんじゃない。
でも怖がるだけじゃ何も始まらないことだって知っている…。
夫婦のすれ違い、親子の行き違い、親友との仲違い。
きっかけはみんな些細なことなのに、想いがねじれ交錯する。
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» 雨のち晴れ、ところにより虹 [吉野万理子] [+ ChiekoaLibrary +]
雨のち晴れ、ところにより虹吉野 万理子 新潮社 2006-07-20
湘南を舞台に、親子・友人…様々な人間関係を描く、六つの物語。「なぎさ通りで待ち合わせ」、人気予備校講師の母と高校生の優花の物語「こころ三分咲き」、どうにも不幸続きで厄払いに行こうと思い立った由衣の物語「ガッツ厄年」、ホスピスに入っている須藤の物語「雨のち晴れ、ところにより虹」、空にあこがれる少年、雄貴の語る「ブルーホール」、学生時代の親友の結婚式にのぞむ佳苗の物語「幸せの青いハンカチ」が収録されています。
短編集…と一口... [続きを読む]
こんばんは、Rokoさん。
本当に、この本を読んでいると葉山、鎌倉、湘南の風景を思い出しますね。
どれもが、ちょっと心温まる話でした。
「雨のち晴れ、ところにより虹」は、「サヨナラCOLOR」という映画を思い出します。
投稿: モンガ | 2006年10月28日 (土) 21:18
モンガさん☆トラバ&コメントありがとうございます。
常盤さんにはやられましたねぇ!(#^.^#)
知らないところで誰かとつながっているんだという気持になってしまいました。
投稿: Roko | 2006年10月28日 (土) 22:26
常盤さんは、影の主人公ですよね。短編それぞれの主人公とは別に、この本の主人公は常盤さんなんじゃないなぁと私も思います。
投稿: june | 2006年10月28日 (土) 23:53
juneさん☆こんばんは
最初はただのデブの看護婦さんだと思っていたのに、常盤さんってスゴイ人でしたね!
須藤さんはきっと幸せになれたんでしょうね。(#^.^#)
投稿: Roko | 2006年10月29日 (日) 18:30
Rokoさん、こんばんは!
どの話もそれぞれに良かったのに加えて、常盤さんの存在!
この本ほんとに良かったですよね~
湘南や鎌倉行ったことないのに、風景が目に浮かぶようでした♪
投稿: エビノート | 2006年10月29日 (日) 19:38
エビノートさん☆こんばんは
>湘南や鎌倉行ったことないのに、風景が目に浮かぶようでした♪
海が見えるところに住むって憧れちゃいます!
常盤さんの愛に溢れた本だったなぁって思いました。
投稿: Roko | 2006年10月29日 (日) 20:39
私も「常盤さん影の主役説」に賛同します!そういう読み方をする必要は必ずしもないけれど、そういう読み方をするとぐっと深い…というところがいいなぁと思いました。
投稿: chiekoa | 2006年10月30日 (月) 12:20
chiekoaさん☆こんばんは
常盤さんはいろんな所に登場しましたね。
それにしても、旦那さんは何処の海へ旅しているんでしょうか?
投稿: Roko | 2006年10月30日 (月) 21:50
Rokoさん、こんばんは。
デブの常盤さん、最初から何かあるとは思っていましたが
最後には綺麗になってチラリと登場。
船乗りの夫はちょっとかわいそうではありますが
須藤さんは幸せな人生だったのではないでしょうかね。
鎌倉、逗子には何度も行ってるのに
いつも車で移動なので江ノ電、実は未体験だったりします。
投稿: なな | 2007年3月 9日 (金) 19:48
ななさん☆こんばんは
ぜひぜひ次回は、江ノ電に乗って下さいな!
海の景色も、町の景色も、なんだかレトロでステキですよ!
投稿: Roko | 2007年3月 9日 (金) 23:56