『アディダスVSプーマ もうひとつの代理戦争』 バーバラ・スミット
アディダスとプーマ、その創立者は実の兄弟というところから、このストーリーは始まります。営業力に優れるルディと、技術者のアディは、最初は一緒に仕事をしていました。でもこの2人、どちらも自分にもの凄い自信があって、かなり若い時代に別々の道を歩み始めます。
ルディはプーマを、アディはアディダスを創立し、それ以降この2社はライバル関係を続けているのです。
今でこそ、靴以外のもの、ウェアやバッグ、さまざまなグッズがブランドマークを付けて市場に出回っていますけど、最初の頃はそういうものを出したくても、創立者である社長さんがウンと言わなかったので、別会社を作ってしまったという話など、いろいろなエピソードが語られます。
でも、この本を読んで一番感じるのは、スポーツビジネスにおける利権争いの激しさです。オリンピック委員会や、FIFAの役員たちとアディダス、プーマとの関係は、知れば知るほど「ベッタリだよねぇ!」と思ってしまいます。
80年代以降、ナイキやリーボックによって開発された新しい市場、ジョギングやエアロビクス市場に出遅れてしまったり、同族企業であるゆえに社内のまとまりに欠けてしまったり、企業買収問題が発生したり、どうしてこんなにいろんな事が起きるんだろうと感心するばかり。
真実は小説より奇なりとは、まさにこの2社のことだなぁと思うのでした。
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