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『きみにしか聞こえない CALLING YOU』 乙一

Calling You
 リョウは携帯電話を持っていない。それはお金がないからじゃない、電話をする相手が、友達がいないから買えないんだ。いつも孤独な彼女は、いつか携帯電話で話ができるような友達ができる日を夢見ている。

傷 -KIZ / KIDS -
 オレは特殊学級に通っている。先生たちはオレのことを問題児だと思っている。そりゃ、時には暴れることもあるけれど、いつだってちゃんとした理由があるんだ。だけど、誰もそんなことに気づいてくれやしない。 

華歌
 わたしは列車事故に遭い、入院している。体の傷は癒えたけれど、心の傷は未だに直らない。失ってしまった人のことを思うと、どうにも辛い。できることなら死んでしまいたいとすら思う。

 心の中に住みついている「孤独感」や「無力感」に押しつぶされそうになりながら生きている人がいる。「そんなもの捨てちゃえばいいのに」と思えるのは他人の事だから。一度背負ってしまった苦しみは、そう簡単に捨て去ることはできない。その重さに耐えかねて、無謀なことをしたり、死んでしまったり。

 そんな自分だから、なるべく目立たないように、なるべく人と関わらないようにと、自分のカラの中に閉じこもって、世間から隠れるような暮らしを続けている人もいるけれど、そんな暮らしはいつまで続けられるのだろう?

 わたしにだって、もちろん劣等感はある。でもそればっかり考えていたってしょうがないから、わたしは自分の得意なことで生きていこうとしている。もしも選択肢がいくつかあるなら、少しでも明るい方、少しでも楽しい方を目指してきた。

 つらいことがあったって、悲しいことがあったって、いつも「止まない雨はない」と信じてきた。

 自分の心の中にある闇と一緒に沈んでしまうのも、それを捨てて浮き上がろうとするのも、決断するのは自分しかいないのだから。

644冊目

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日本の作家 あ行」カテゴリの記事

コメント

rokoさん、こんにちは。
切ないホラーの乙一さんの作品、
ご自分のことを再確認して鼓舞されたんですね。
私も劣等感だらけですけど、
少しでも良くしたい気持ちで生きています。

今年は大変お世話になりました。
「死神の精度」で颯爽と登場されて印象的でした。
いろんな本のお話ができて、うれしかったです。 来年も引き続きよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。

藍色さん☆トラバ&コメントありがとうございます。
乙一さんって、きっと心優しい人なんだろうなぁと思える作品でした。
藍色さんの所に何度もお邪魔しましたが、来年もまたお邪魔しますのでよろしくお願いします。m(__)m

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