『思い出トランプ』 向田邦子
「時間ですよ」を作った男 を読んだら、やっぱり向田さんの本が読みたくなりました。
この短編集には、いろんな男と女が登場します。夫婦だったり、親子だったり、愛人だったり、いずれにしても男と女の関係というのは、不思議なものです。
この本が書かれた頃の日本では、女性の社会進出は始まったばかりで、男は仕事、女は家庭というのが普通でした。夕御飯はお父さんが席に着かなければ始まらないという家庭がほとんどだったと思います。「外で働いているお父さんはエライんだから」という扱いをするのが普通だったのですが、心からそうしている人はどれだけいたのでしょうか?
この本に登場する女性達は、男性に対してみんな厳しい目を持っています。「かつては素晴らしい人だと思っていたけど、今は大したことないわ」「そんなこと言われたって、やりたくないわ」なんてね。ハッキリと口にはしないけど、そんな気持に正直に生きている人ばかり。
表面上は貞淑な奥様だけど、裏じゃ何をしているのか分からないって、男性はなかなか気が付かないんですね。そして、いざ気が付いてみると「女って怖い!」と震え上がってしまう!女性と比べてそういうところが可愛いというか、見えてないんだなぁってことを向田さんは見事に描いてますね。
TVドラマ 「阿修羅のごとく」や「あ、うん」で感じた女の業というか、怖い部分を、ジワジワと感じる短編集でした。この本に収録されている「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」で直木賞を受賞されているのですが、時を越える名作だなと、改めて感じました。
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