『悪童日記』 アゴタ・クリストフ
戦争が激しくなったので、双子の「ぼくら」はおばあちゃんの家に疎開することになった。おばあちゃんは、もの凄い働き者で、ケチだ。町の人からは「魔女」と呼ばれている。
主人公の双子の男の子達は、たぶん小学校に上がったくらいの年頃なのだろうけど、生きていくにはどうすればいいのかをよく分かっている。ケチなおばあちゃんにご飯を食べさせて貰うにはどうすればいいのか?自分たちがより楽しく生きていくにはどうすればいいのか?いつも2人で考え、行動している。
戦争によって、大きな国に支配されている小さな国に住む生活って、想像を絶するほど厳しいのだけれど、そんな中でも少しずつ自分たちが暮らしやすいようにしていくところが、この物語のテーマなのでしょう。
おばあちゃんとの関係も、最初はおばあちゃんが主導権を握っているのだけれど、少しずつ自分たちのペースへ持っていってしまうところは、実に見事!こういうたくましさって、本当に気持ちがいい!
著者のアゴタ・クリストフはハンガリー生まれで、1956年のハンガリー動乱時に西側へ亡命した人です。この物語の背景は、彼女の実体験がかなり反映されているんです。そして驚くべきは、この本は彼女の処女作なのです。
この作品は世界20カ国以上で翻訳されているのだそうです。知らなかった!(^^ゞ
前知識なしに読んだこの本ですが、淡々ととんでもない出来事が起きていくところが、実に面白かったです。アゴタ・クリストフの他の作品も是非読んでみたいなぁ!
この本は Ciel Bleu さんの所で見つけて、気になったので読んでみました。今年のテーマ、海外作品に益々のめり込みそうです。
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Ciel Bleu
「本のことども」by聖月
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» ◎◎「悪童日記」 アゴタ・クリストフ ハヤカワepi文庫 620円 2001/5 [「本のことども」by聖月]
今年5月に、早川書房がハヤカワepi文庫を誕生させた。その第1回配本5冊のうちの1冊。新聞広告などで、何故だか気になってしまい、近くの書店に買いに走ったら、この「悪童日記」がたった1冊だけ、"私を買ってください"と置いてあった。
非常に面白かった。純文学に位置する本なのだが、子供の視点を借りて寓話的に書かれており、文章も平易で、約3時間で読み終えた。
"悪童"は、双子の男の子。戦乱期のハンガリーの片田舎で、したたかに生き延びるために、大人も出し抜けば、自分たちにも鍛錬を強いる"ぼくら"と... [続きを読む]
Rokoさん、こんにちは。
こちらからもTBさせていただきました。^^
ほんといいですよね、この作品。
私はこれでハヤカワepi文庫にハマりましたよ。
ぜひ続きも読んでみて下さいね。
あ、でも「ふたりの証拠」「第三の証拠」は
2冊揃えた状態で読み始めた方がいいです。
1冊だけだと後で身悶えることになるかと…(笑)
「悪童日記」1冊だけのでも良かったという人もいるのですが
私は一通り読んですごく満足しました。
Rokoさんはどうでしょう? 感想、楽しみにしてますね。^^
投稿: 四季 | 2007年5月 4日 (金) 08:08
四季さん☆おはようございます。
「続きは2冊揃えてから」ですね!了解いたしました。(#^.^#)
こんなにスゴイ作品を読めて、本当に幸せです。
投稿: Roko | 2007年5月 4日 (金) 08:52
発売された頃、ぼくはハードカバーで読みました。たしか本を持ってます。
いやあ、衝撃的でした。
この著者は、そりゃあもうたいへんな人ですから、「四季」さんがお薦めしていますが、ここでやめておく、という手もあるかも。
ぼくは読みましたよ。読んだら身悶えされると思います。
投稿: ディック | 2007年5月 6日 (日) 22:10
ディックさん☆こんばんは
>ここでやめておく、という手もあるかも。
って、それだけスゴイってことですかぁ?
益々読みたくなってきました。(^^)v
投稿: Roko | 2007年5月 6日 (日) 23:41
さて、続きは読まれたのでしょうか〜?
小生は取り敢えず悪童日記を買って読み、矢も楯もたまらず続きになだれ込みました。しかし、読み終わるのが勿体なかった。
こんな本にはなかなか巡り会えません。
投稿: sheknows | 2009年3月31日 (火) 17:20
sheknowsさん☆モチロン読みましたよ!
これは3冊で1つの物語ですもの。
それにしても衝撃の展開でしたね。
投稿: Roko(sheknowsさんへ) | 2009年3月31日 (火) 19:50