『タイアップの歌謡史』 速見健朗
このごろのヒット曲は、ほとんどがタイアップ曲です。CMがらみかドラマがらみ、純粋に曲だけでヒットするなんてことは、もう皆無に近いようなのです。
米国では放送局が音楽出版を持つのは禁止されているのに、日本は大丈夫だからタイアップビジネスが主流になっちゃう。そりゃテレビやラジオ局は自分の子会社が出版やってる音楽をガンガン流せば使用料が発生して収益になるわけですから、レコード会社に対して、タイアップしてやるから出版権よこせって話になりますよね。(本文より抜粋)
タイアップをして儲けようと考えやすい体質が日本にはあるってことですね。人気ドラマがあれば、そこで使われる曲は絶対に売れる。だからその曲の版権をTV曲の子会社が持とうとする。ウーン、そういう錬金術って何だか嫌な感じだなぁ。音楽の独自性ってものが無視されているような気がするなぁ。
そんなタイアップ路線も、最近は下火なんだそうです。何故かって?それはCMを見ない人が増えているからなんです。TV番組を録画して見る人が増えていて、録画したものを見る時ってCMを飛ばすじゃないですか。せっかくのCMを飛ばされちゃったら、せっかくのタイアップ策も役に立たないワケです。(^^ゞ
最近スポーツ番組にアイドル歌手がゲストで呼ばれていたり、K-1のリングサイドの目立つところに芸能人を座らせてみたりって事が多いですよね。番組の中でのタイアップがこうも増えてくると、何だかもう食傷気味って感じです。余計な所で騒いでいないで、ちゃんと試合の中継をしてくれよ!って思います。
タイアップって、確かに合理的なプロモーション・スタイルですけど、現在のようにタイアップだらけになってしまうと、結局何でも同じに見えてきます。表面上は違う人間が活躍していても、裏で動いているスタッフは結局同じなんじゃないかと思っちゃったら、もう興味は失せてしまいますよね。
712冊目
« 『数学的にありえない 上・下』 | トップページ | 『手帳 Hacks! 仕事と手帳を200%拡張する』 »
「新書」カテゴリの記事
- 『世界秩序が変わるとき』 齋藤ジン 25-35-3431(2025.02.08)
- 『カーストとは何か』 鈴木真弥 25-20-3416(2025.01.24)
- 『江戸の貧民』 塩見鮮一郎 25-13-3409(2025.01.15)
- 『世界は経営でできている』 岩尾俊兵 25-6-3402(2025.01.07)
- 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 三宅香帆 24-366-3392(2024.12.26)
「音楽が聞こえてくる」カテゴリの記事
- 『調律師』 熊谷達也 25-11-3407(2025.01.13)
- 『ピアノを尋ねて』 クオ・チャンシェン 24-363-3389(2024.12.23)
- 『歌謡曲が聴こえる』 片岡義男 24-136(2024.05.11)
- 『オーケストラの職人たち』 岩城宏之 24-28(2024.01.29)
- 『祝祭と予感』 恩田陸 297(2022.10.31)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『タイアップの歌謡史』 速見健朗:
» (書評)タイアップの歌謡史 [たこの感想文]
著者:速水健朗 タイアップの歌謡史価格:¥ 819(税込)発売日:2007-01 [続きを読む]
コメント