『数学的にありえない 上・下』
主人公のケインは数学の天才で、友達から「レインマン」と呼ばれてしまうほど。以前は大学で統計学の講師をしていたのだけど、ある時から学校で教えることができなくなってしまったのです。稼ぎのない彼は得意の統計学を駆使してギャンブルに手を出したのですが、結局は借金を増やして、おっかない借金取りに追いかけ回されてしまいます。
もう一人の主人公ヴァナーはCIA工作員。彼女は優秀な工作員なんだけど、仕事を通じて手に入れた情報を外国へ売る情報屋もやっていて、いつも危ない橋ばかり渉っています。そんな彼女にケインを捕獲せよという指令が出て、この2人が出会うことになるんです。
ケインが持っている数学の才能はもの凄いものがあるけれど、それよりももっと凄い才能があって、そのおかげで追いかけ回されることになっちゃいます。(ネタバレになっちゃうので、具体的には説明できないけど)この能力が本当にあったとしたら、これを手に入れたいと画策する人は絶対にいるでしょうね。
この本を読みながら、ずっと感じていたのは「集合的無意識」という言葉です。意識というのは自分の個人的なものだと考えがちだけれど、自分以外の世界と結びついている意識というものがあるのだということを考えさせられてしまいました。
「自分がこう考えているのだと思っていることが、実は他の人たちの意識から影響を受けているのだとしたら?」なんて考え始めたら、どうにも止まりません。(^^ゞ
さて小説の方ですが、かなりの長編なのに一気に読んでしまいました。冷静に考えれば「ありえねぇ~!」という設定ですけど、そんなことは気にせずに読んじゃいました。(#^.^#)
710・711冊目
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» ◎◎「数学的にありえない」上下 アダム・ファウアー 文藝春秋 各2200円 2006/8 [「本のことども」by聖月]
本書のジャンルを評者的に規定するとするならば、運命物と規定させていただきたい。SFという人もいるだろうし、薀蓄物と呼びたい人もいるだろうし、いやこれは途中からはロードノベル的サスペンス物だろうパハップスと、欧米か!みたいなことを言う人もいるだろう。いや、実際評者も読みながら、SFっちゃあSFだよななんて思っていたのだが、終盤のピースの嵌り方は、うん、こりゃあ運命物だよなあと感慨深げに呟いてみたのである。
意味がわからない?SFにタイムトラベルが付加され、かつそれが名作的であると運命物となる... [続きを読む]
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