『拝啓 美しき人へ』
36人の作家によって書かれた手紙は、実に様々なテーマで書かれています。ファンレター、頼み事の手紙、恋の手紙、別れの手紙、どれもこれも日常にこれでもかというくらい溢れているテーマなのだけれど、こうやって手紙という形にすると、妙に生々しく心に響いてくるのです。
それにしても設定が面白いのが多いんです。タイトルを読んだだけで思わずニヤッとするようなものもあります。「人間でないことがばれて出ていく女の置き手紙」 は、「葛の葉」か「鶴の恩返し」ってイメージが、目の前に映像が拡がってくるようです。ちょっと切なくていいなぁ!
「現住所もわからない漫画家の元妻へ、"子供に会わせてほしい"と伝える手紙」は、創作ではなく本当に書かれて手紙です。人づてに元の奥さんへ渡して貰おうとしたのに受け取りを拒否されてしまった手紙を、編集者の方が活字にしてくれたというものなのです。本来は私信であった手紙が、こういう形で公開されるのは、それを読んでしまうのは、何とも複雑な心境です。
熱狂的なファンにさりげなくお断りを入れる手紙、借金を断る手紙などは、嫌だという意志をやんわりとした表現にしているところに、作家の力量を感じたりもしましたが、こういう人を相手にしなければならないって、有名になるのも大変なんだなぁなんて思ったりもして。
最近は何でもメールで済ませてしまって、たまにはハガキくらいは書くけれど、すっかり手紙は書かなくなりました。久し振りに書いてみようかな?
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