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『“手”をめぐる四百字 文字は人なり、手は人生なり』 季刊「銀花」編集部

“手”をめぐる四百字
季刊「銀花」編集部
文化出版局

 「”手”をめぐる四百字」の連載は、季刊「銀花」が百号を迎えた時に始まりました。ちょうど編集部にワープロが導入された頃です。~中略~ まっさらな容姿に均一なパソコン文字が並ぶことがあたりまえになって、しかし肉筆文字はその存在感を増し、一段と強い光を宿し始めたのではないでしょうか。(”あとがき”より)

 400字詰め原稿用紙に書かれた50人の手書文字は、1つとして似ていないのです。小さな字、大きな字、力強い字、繊細な字、字を書いた人間の気持ちが文字の姿を借りてそこに存在しているという風情なのです。

 原稿用紙に書く文字ですから、当然誰かに読まれることが前提の文字です。それなのに、誰かに読まれるということを否定しているような文字もあれば、筆跡を見ただけで思わず読みたくなってしまう文字もあって、「ああ、これが個性というものなのか!」と感心してしまったのです。

 一際目を引いたのは浅田次郎さんの文字です。まず素晴らしいのは、文字自体にリズムがあるんです。思わず読みたくなる文字なのです。400字詰原稿用紙全体を見たときに、文字のバランスが実に美しいのです。こんなに美しい文字だったら、本一冊全部が自筆でもいいなぁと思えてきます。

 文字のバラエティ豊かさもモチロンですが、皆さんが使っている原稿用紙のバラエティの豊かさにも心を惹かれました。学生時代に作文を書かされたコクヨの原稿用紙もあれば、伊東屋さんや紀伊国屋さんのものもあります。出版社や会社の原稿用紙の方もチラホラ。

 文筆業の方は、オリジナルの原稿用紙を使ってらっしゃる率が高いんですね。自分の名前が刷り込まれた原稿用紙に文字を書くって憧れちゃうなぁ!

 わたしも400字で「手」をテーマに書いてみました。

 「器用な手」

 わたしの父も母も手先がとても器用な人達である。わたしはそれを見て育ったので、自分程度の器用さは普通だと思っていた。
 小学校に入った頃だろうか、それはどうも違うらしいということに気付くようになった。世間の人達は、我が家の常識から考えたら「不器用な人達」ばかりなのだ。
 靴紐を縦結びにするなんて、わたしにはできない。編み物だって、大根の桂剥きだって、見よう見真似で出来てしまう。男友達の取れそうになっているシャツのボタンを付け直してあげて感激されたこともある。
 器用であることは一見便利だけれど、その分わたしは人に甘えることが下手だ。誰かに助けを求める事なんて殆どない。そういうところは実に不器用なのである。
 「そんなのムリ~!誰かやって!」なんてセリフを一度でいいから言ってみたい。「よしよし、やってあげよう。」という優しい人に「ありがとう、頼りにしてるわぁ!」なんて可愛く言ってみたい

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