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『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』 太田直子

 最近、同業者から聞いたのだが、シネコンの入口でこんな言葉が聞かれるらしい。「吹き替え版は満員?しょうがないな。字幕版でも、まぁいいか」

 そうなんですよ!この間、シネコンにパイレーツ・オブ・カレビアンを見に行ったときに、わたしの前に並んでいた高校生らしき数人のグループがこう言ってました。「どっちにしますかって?吹き替え版に決まってるじゃない!字幕なんてめんどくさくて読めないよ。」

 「チョット待て!アニメなら吹き替えでもいいけど、俳優が出ている映画だったら、その人の声を聞きたいと思わないのか?ジョニー・ディップの声が吹き替えられちゃうなんて冗談じゃないよ!」とわたしは言いたい!

 外国映画を字幕なしで見られるようになりたい!というのは、未だに叶わない夢ですが、字幕に頼りつつもオリジナルの音で映画を観たいと思うわたしは、マイナーな人種なんでしょうか?

 映画の字幕作成をなさっている作者、太田さんのボヤキが満載のこの本、至る所で笑えると同時に、それじゃマズイよねと冷や汗が出る箇所もたくさんありました。字幕制作者が必死に作った字幕を勝手に変えてしまう制作会社とか、セリフがないところにまで字幕を入れろとゴネる担当者とか。映画を愛していない映画関係者がいること自体に腹が立っちゃいます!(-.-#)

 字幕にクレームを付けてくる人ってのも結構いるらしいですね。明らかに間違っている場合はしょうがないとして、元の表現のままじゃ日本の人に分かってもらえないようなことって多いですからね。意訳になっていたり、表現を変える事ってしょうがないじゃないですか。

 たとえばね、アメリカン・フットボールの人気選手の名前とか、マーチン・ルーサー・キング牧師の「I have a dream」の演説とか、注釈なしに分かる日本人って少ないですよね。そのまま字幕にするわけにはいきません。オリジナルでは「T.Oが」と言っていても、日本で分かってもらうためには「NFLのスター、テレル・オーエンスが」と言い換えなければならないんですよね。

 シェークスピアのセリフとか、聖書の一節とか、日本人にとって身近でない事項についての説明を、あの短い字幕の中に納めなければいけないんだもの、字幕を作るって本当に大変な仕事だと思います。その割に大変さを分かってもらえないところが辛いんだろうなぁ!

 わたしが大好きな「スクール・オブ・ロック」は、太田さんが字幕を作成した作品だったんですね。あの映画はロック・グループの名前が沢山出てきて、調べるのが大変だったろうなぁ!観ている方はけっこうマニアが多いですからね。

 このままじゃ、字幕の仕事は無くなっちゃうんじゃないかと太田さんは心配されてましたけど、それは大丈夫だと思いますよ。わたしみたいに字幕版が好きって人はまだまだ一杯いるんですから!ガンバレ!

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コメント

この本は私も読みました。
普段なにげなく見ている字幕にも、いろいろな苦労があるのですね。
しかし、昔の字幕は手書きで、読みにくかったのですが、
今の字幕は格段に進歩していますね。

富久亭さん☆こんばんは
フィルムに手書きで書いていたから、文字が揺れていたんですね。
どんなに技術が進んでも、文章を考えるのは人間だから、ご苦労は耐えないんでしょうね。

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